展示会アプリはマーケティングツールへ
ブレイブソフト
「Appvisor event(アップバイザーイベント)」
契約数1,000万人を超えるNTTドコモのオフィシャルアプリや、「ARエヴァンゲリオンアプリ」など、話題のスマートフォン向けアプリの開発を数多く手がけるブレイブソフトが、イベントや展示会に特化したO2Oアプリ作成・ASPサービス「Appvisor event(アップバイザーイベント)」を独自開発した。
イベントアプリを最短5日で制作でき、[お知らせ]や[イベント概要]、[アクセスマップ]、[場内マップ]、[タイムテーブル]、[事前登録]といった機能がパッケージングされており、B級グルメやフリーマーケットなどBtoCイベントだけでなく、BtoBの医療学会やビジネス展示会でも多く採用されている。
「現在は、IT系やアパレルなどの業種から問合せが多いですね。2014年ごろからご相談件数は徐々にふえています。イベントアプリは海外で流行ってきていますので、日本でもこれからニーズが高まると思います」と、ブレイブソフト執行役員/統括部長の貝沼翔さんはイベントアプリの動向をこう話す。
今年の実例をみると、「SCAJ ワールドスペシャルティコーヒーカンファレンスアンド エキシビション 2015」や「第42回 国際福祉機器展 H.C.R.2015」などの産業展示会、また「Adobe Digital Marketing Symposium 2015」といった企業イベントでの採用も多い。
「シンポジウムは、海外からの参加者も多く多言語対応機能がよろこばれました」(貝沼さん)
アプリを採用する主催者側のメリットとしては、プッシュ通知が送れることで誘客につながること、来場者にとっては気になる出展企業の情報やセミナー開始時間の直前アラームで見逃しが減ることのほか、オプションの分析機能をつけると、会場に設置したビーコンで滞留時間や回遊導線を知ることもできるなど、スマートフォンならではのコミュニケーションがとれる。
また、アプリ開発会社であるブレイブソフトならではのメリットとしては、アプリの企画力が挙げられる。「会期中の短期だけでなく、長期的な視点でのダウンロード施策を提案できます」と話すのは、導入のサポート役を務める同社マネージャーの熊谷敏宏さんだ。せっかく高いコストをかけてアプリをつくったのに、ダウンロードしてくれるかどうか不安だという相談も多いという。「そんなとき、初年度はデータ収集用と考え、ミニマムプランでスタートし、次年度の戦略の基礎にとおススメしています」(熊谷さん)。パッケージングサービスのため、1からつくるより10分の1のコストからはじめられるのも魅力だ。
もともとAppvisorは、アプリストア内での順位を上げるため、自社用につくったツールで、開発したアプリを分析、解析しながら改善するシリーズものだった。イベント向きの「Appvisor event」制作の背景にも、じつは同社の改善姿勢がある。展示会への出展を経験したことのある同社にとって、課題は出展効果の可視化だったという。
「アプリは集客ツールでもあるんですが、マーケティングツールだとも考えています。展示会って、1年のうちたった3日間。その期間が過ぎれば終わってしまうと考えがちですが、それはもったいないと思うんです。たとえばアプリで出展者情報のほか、イベントを起点として業界情報などの周辺を内包した情報発信をするニュースメディア化も一つの在り方ですし、実際にアプリ内の広告枠ニーズも高い。通年で業界を活性化させるツールになれればと思っています」(貝沼さん)
測るだけじゃない、時代は考える空間へ
乃村工藝社/日立製作所
「空間データ・マネジメント・プラットフォーム」
空間内での行動を見える化した「空間データ・マネジメント・プラットフォーム」を2013年に発表した商業内装大手の乃村工藝社と日立製作所。たとえば、展示会のようなイベント開催時には来場者の滞留時間や行動などを「人流密度マップ」や「リアルタイム人流分析」(図)といった可視化に成功した。
これまで盛り上がりのピークを知るには来場者数、興味関心度は地道なアンケート調査や感覚値を頼りに、人力で集計して来た分野だ。 センサー技術とビックデータ分析を活用した「空間データ・マネジメント・プラットフォーム」の登場で、行動や関心をリアルタイムに計測・集積・分析し活用ができるようになった。
共同開発者である乃村工藝社・CC第二事業本部アカウント第二事業部企画開発1部部長の中村久さんは「開発から3年目になったいま、『測る・見える化』から『ソリューション・予測』へと進化しています」と話す。
実証実験の段階は終わり、すでに実用化され、さまざまな場所での活用が進んでいた。
2014年3月、国立科学博物館では、首から下げた名札型センサノードと館内に設置した赤外線ビーコンで、行動を測り、どう動き、どの展示の前で立ち止まったのか、また親子の会話が、どこで活性化したのかといったコミュニケーション度を測ることで、今後の展示更新へと役立ていくことができた。
「ビッグデータで分析すると、空間デザインとしては顔からみるだろうと思っていた展示物が、じつは尻尾からのほうがよくみられていた、といった思わぬ発見があり、『設置するパネルの位置』や『見学ルート』、また『子ども向け・大人向けの解説の作り分け』といった改善点に活かせる可能性がある」と、真鍋順一さん(同社・空間DMP事業準備室室長)はデータを読み解く。
「空間データ・マネジメント・プラットフォーム」がはじめてお披露目されたイベント「Hitachi Innovation Forum2013」でも測定されたデータを反映し、レイアウトを一新。会場内の奥に配置していたメインステージを中央に移動し、四方に集客力を発揮する心臓ポンプのような役割にした結果、周辺ブースでは数多くの体験を提供することに成功したという。
「空間はこれまで一方的に情報発信する場所でした。いまは、来場者・来館者から行動情報を取得し、ニーズにあった情報発信ができる『考える空間』になり、空間価値を最大化できるようになったんです」(中村さん)
<協賛>
株式会社ブレイブソフト
Appvisor Event