デジタルが左右する展示会産業のゆくえ ――UFI Asia Pacific Conference 2019 講演6「デジタル・ディベート」
- 2019/4/21
- Topics, リポート, 海外リポート
- GDPR, Gunnar Heinrich, IT人材, Matthias Tesi Baur, Stephan Forseilles, UFI, UFI アジアパシフィック, イノベーション, デジタル論争, 人材確保, 個人情報保護, 国際見本市連盟, 展示会, 展示会産業, 東京ビッグサイト
モデレーター:Matthias Tesi Baur氏、
スピーカー: Stephan Forseilles氏、
‘ Gunnar Heinrich氏
UFIのデジタルイノベーション委員会の3人が登壇。展示会のテクノロジーに関する設問について、スピーカー2人が反対の立場で意見をたたかわせた。設問発表時に参加者の意見が議論の後にどう変わるかをリアルタイムで見ながら進行した。
――AIが展示会産業を短期間で劇的に変えるか
Stephan 他の業界ではすでに刷新はおきている。一日の行動予定をAIがレコメンドし、人間は承認するだけ。提案のなかに展示会が入るように努力しないと。
Heinrich AI導入の問題点は過剰な期待。AIに展示会の準備と実施を完璧にやってもらい、人間は遊んでいればいい、とはならないでしょう(参加者の60%は革新が起きると回答)
――展示会企業は優秀なIT人材を確保できるか
Stephan GAFAや金融と比較し、技術者が活躍する場は少なく予算も低い、それ以上に深刻なのは文化。カスタマーエクスペリエンスを最重要している産業と比べて、イノベーションが起きづらい。そういう環境に優秀な人材は集まりづらい
Henrich 自分たちを過小評価している。テクノロジーを駆使して会場内や会場に行くまでに心地よい体験を提供している展示会は多くMPS(仕事満足度)が高い見本市企業もある。そのベストプラクティスを標準化していけばいい。ゲートに長い行列ができていても、予算がないからやらなくていい、という習慣を変えていくことからはじめればいい
――GDPR(EUで昨年5月に発効したの個人情報保護法)の影響は
Stephan個人情報を守ることは重要だが、ユーザーは個別化されたパーソナルな体験を求めており、そこでのイノベーションやクリエイティビティが阻害される。アイデアを生むには自由が必要なので、他地域に遅れをとるのでは
Henrich 事業者のビジネスに制限がかかるというが、アドブロックをするユーザーが増えているなか、一斉に同じメッセージを送るのではなく、ユーザーのニーズを正確に把握して期待通りのコンテンツをおくることでコミュニケーションが活性化される。GDPRの規制下でビジネスする経験は資産となるだろう