「アート&サイエンスフェスティバル」、巡回展「1970大阪万博展覧会」(福岡・神戸・東京)が、3月1日(金)から17日(日)に渡り開催される。主催は大阪府。
この記者会見は、バシェの音色からスタートした。聴いたことのない、少し不穏な響きが、会場となった万博記念公園内のEXPO’70パビリオン・1Fホワイエの空間に広がる。身体に振動が届き、心がざわめくような演奏だった。
初めて目にすると、バシェが楽器なのか、アートなのか区別するのは難しい。バシェは、音響彫刻と呼ばれており、バシェ協会の理念によると“ベルナール(Bernard Baschet: 1917-2015) とフランソワ(François Baschet:1920-2014)のバシェ兄弟は長い時間をかけて音の実験と研究を重ね「音響彫刻」といういままでにない響きを持つ作品を創作した”とされる。
バシェと大阪万博について紐解くと、大阪万博・鉄鋼館プロデューサーで前衛的な音楽活動家でも知られていた武満徹氏によりフランソワ・バシェが招聘され、開催前年の7月から10月にかけ、大阪市の後藤鍛工で、日本助手とともに17点の音響彫刻を制作。鉄鋼館では音響彫刻を使った曲が毎日流されたという。その後、バシェ音響彫刻は解体され、部材が鉄鋼館の倉庫に保存されていた。(以降、修復については、バシェ協会「大阪万博から現在まで」に詳細)
オープニングパフォーマンスとしてバシェを演奏した永田砂知子さんは、「1970年の大阪万博の時には、17つあったバシェ音響彫刻のうち、現在6つが修復され現存するもの。EXPO‘70 パビリオンに3点、京都市立芸術大学に2点、東京藝術大学に1点の計6点が修復されている」と、今回展示されているバシェ3点について説明する。
オープニングパフォーマンスの演奏には福祉施設「ノーサイド」所属の早川ひかるさんが特別参加した。バシェは、障害のある方にも、誰もが演奏できるように考えられて設計されており、触れるだけで音の出るスプリング、金属のバチで擦って音を鳴らすなど、多様な演奏方法で音を奏でられる。バチによっては、ドスの効いた音にもなれば、優しい音にもなるという。早川さんは、初めてバシェを演奏したそうだが「すごく面白い楽器」と笑顔をみせた。
「アート&サイエンスフェスティバル」巡回展「1970大阪万博展覧会」では、万博記念公園内のEXPO’70パビリオン・1Fホワイエに展示されるほか、「Re:EDIT 702024 バシェ音響彫刻演奏」として、3月9日・大阪で岡田加津子さん(バシェ演奏家)、渡辺亮さんによる演奏が、3月16日・17日には東京で永田砂知子さん(バシェ協会会長)による演奏が予定されている。*東京は、要予約。
*記事に一部修正をいたしました。(2024年3月12日14:24)
「アート&サイエンスフェスティバル」
会期:2024/3/9(土)-3/12(火)、3/14(木)-3/17(日)
時間:10:00〜17:00
料金:無料[EXPO’70パビリオン内展示は要入館料(高校生以上500円)]
※別途、万博記念公園への入園料(大人260円、小中学生80円)が必要。
会場:万博記念公園(大阪府吹田市千里万博公園)
<メイン会場>EXPO’70パビリオン1Fホワイエ / 別館1F 展示室
<サブ会場>太陽の広場、夢の池、日本庭園
主催:大阪府
協賛:株式会社プリズム/池上通信機器株式会社
協力:株式会社TASKO
https://artsscience-expo70.com/art_science_festival/
巡回展「1970大阪万博展覧会」(福岡・神戸・東京)
■福岡会場
1970大阪万博展覧会 Re:PLAY パビリオン・パンフレット・アーカイブ
会期:2024/3/1(金)-3/3(日)
時間:10:00〜17:00
入場料:無料
会場:キャナルシティ博多センターウォーク 5F(福岡県福岡市博多区住吉1-2)
■兵庫会場
1970大阪万博展覧会 Re:PLAY エキスポ・ポスター・アーカイブ
会期:2024/3/9(土)・3/10(日)、3/12(火)-3/14(木)
時間:10:00〜17:00
入場料:無料
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)1F ギャラリーB
(兵庫県神戸市中央区小野浜町 1-4)
■東京会場
1970大阪万博展覧会 「Re:EDIT 702024」 with Generative AI
会期:2024/3/16(土)-3/17(日)
時間:11:00〜20:00
入場料:無料
会場:寺田倉庫 G3-6F(東京都品川区東品川2-6-10)
主催:大阪府
協賛:株式会社プリズム
協力:NO ARCHITECTS/株式会社TASKO
https://artsscience-expo70.com/1970expo_in_osaka_exhibition/
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