いま、「イベント」×「マーケティング」の理由~EMS Report#2
- 2015/8/2
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基調講演
毎年、EMSのキーノートスピーチには、マーケティング関連の著名人が登壇する。
今年も、世界最大のラム酒メーカーBacardiのCMO Dima Ivanov氏、動画配信サービスYouTubeのカルチャー&トレンド部門長Kevin Allocca氏、ディスカウント百貨店チェーンTargetのエクスペリエンタルマーケティング部門ヴァイスプレジデントDan Griffis氏という米国内だけでなく世界で活躍する企業のマーケティング担当者が、顧客にブランド体験を提供するとはどういうことなのか、異なる業界でも共通するテーマでその手法やヒントとなるメッセージを送った。
「The Marketing Landscape」
Bacardi CMO
Dima Ivanov氏
Share of “voice” to Share of “Life”
BacardiのCMO Dima氏は、「ブランド普及は、『体験』がすべて」という基本姿勢を示す一例として、米国が禁酒法の時代にBacardiが行った “(米国で飲めないなら)キューバで飲もう”という大胆な旅行キャンペーンから紹介し、自社が行ってきたマーケティング戦略を体験という側面から語った。
たとえば、「重要なインフルエンサーは誰か?」については、的確に設定することが大事だとし、酒造メーカーであるBacardiにとってそれはバーテンダーであり、BARがブランドを生む場であると解説した。具体的には、2005年から34か国で3,000人を超えるバーテンダーが参加するコンテストを実施、結果として「バーテンダーおすすめ」の一杯にBacardiを使用したカクテルを300万杯以上提供することに成功している。
まとめで、Dima氏は、体験キャンペーンを考える際に重要なこととして、次の3つのメッセージを送った。「ニュースを作れ。ビックアイディアは重要(多少のクレイジーさも時には必要)」、「観客が楽しめるように最大限努力し、見返りを求めない(ROIを考えすぎず、『Give,first.』であること)」、「ソーシャルメディアを意識する(自主的に広げてくれる)」。
「What Makes Content Explode」
YouTube Head of Culture and Trends
Kevin Allocca氏
There’s no real formula for viral success,
YouTubeのカルチャー&トレンド部門長Kevin 氏は、どのようなコンテンツがバズるかについて語った。
キーワードは「キュレーション」、「コミュニティー」、「コネクション」、「クリエーション」の4つ。Cからはじまるキーワードに共通するのは、意図してバズバグるコンテンツをつくることはできないということ。「バズると約束できないけれど、重要な戦略は3つある」と紹介した。
・OPEN DISTRIBUTION:流行に乗るよりも、時流を読む
・INTERACTIVITY:アイスバケツチャレンジのように、動画に対して対応すること
・AUTHENTICITY:リアルであること
「Target Unplugged」
Target VP-Experiential Marketing
Dan Griffis氏
Having that thought in your head that ‘this might not work’ is a truly powerful thing,
TargetのVP-Experiential Marketing Dan氏のキーノートスピーチは、EMS主催者でEventMarketer誌のDan Hanover氏の進行で行われ、「百貨店であるTargetのパートナー(小売業者)へのヒントとして、戦略を共有すること」を目的にしたセッションとなった。
Targetの体験キャンペーンへの予算は増えており、先日行われた世紀の一戦、メイウェザー対パッキャオの試合のスポンサーになるなど、勢いをアピールすることを重視している。また、よく言われるように成功にはトライ&エラーが必要で、トライしたうちの10~15%は失敗することを見越したうえでないと成功も生まれないという自身の経験を語った。
最新の事例では、テイラー・スウィストとのタイアップキャンペーンを紹介。アルバム『Speak Now』のTarget限定盤を制作した結果、限定盤にしか収録されない楽曲を目当てに、若者層にヒットしたというキャンペーンだ。過去最大のCDセールスを記録し、若者層の取り込みにも成功した。鍵となったのは、Targetに来店し、CDを購入するという未体験の提供で、普段の音楽購入はダウンロードを主流とする若者にとっては追加トラックの購入欲求に加え、CD購入の初体験も重なって、一種のアトラクション的なキャンペーンとなったことだと分析した。
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