2020年には延べ300万人にメタバース体験を提供した国内最大級のメタバースプラットフォーム開発会社のクラスター株式会社は、11月1日、「Clusterカンファレンス – メタバースを再定義する –」を開催し、同社の加藤直人代表取締役CEOが大規模アップデートとメタバース研究所設立を発表した。
Clusterの大規模アップデート
Clusterの大規模アップデートでは、6つの機能アップデートを発表。
・乗り物機能
乗り物機能は、Cluster空間での移動で要望が多かった機能で、プレゼンではクルマを運転するアバターを紹介したが、この機能の実装によって、今後ジェットコースターなどの乗り物、椅子の設置なども可能になっていく、とした。
11月2日にリリースされる。
・3種類のサーバータイプが選択可能に
現在のClusterでは、Clusterワールドに公共空間しかないが、プライベートな空間などを要望する声も出ていた。今回の発表では、これまでのパブリックに加え、サーバー内にいる人のフレンドなら誰でも参加できるサーバーの「パーティ」、そして招待した人だけが参加できるサーバー「プライベート」が追加される。
11月1日にリリースされた。
・アバター制限解放
アバターを作成しアップロードした際に、ファイルサイズが25MB以下であることなど、制限が厳しいと言われてきた声を受け、無制限に変更された。
11月末にリリース予定だ。
・自分だけのアバターが作れる
「アバターを手に入れるのがただただ難しい」という声を受けて加わったのが、オリジナルアバターを作成できる「AvatarMaker」機能だ。今回を皮切りに、加藤代表取締役CEOは、最終的には「髪型や服、アクセサリーを出品したりできるような世界観にしたい」と話した。
11月1日にリリースされた。
・ワールドクラフト機能
アバターと同様に「ワールドを作るのがただただ難しい」という声を受け加わったのがワールドクラフト機能だ。すべてのデバイスから、ツールいらずで簡単に、フレンドと一緒に作ることができる。
12月下旬にリリースされる。
・Oculus Quest 2への対応
これまで、スマートフォンやタブレット、PC、VR専用機器などから「Cluster」に入ることができたが、今回の発表でOculus Quest 2単体で動かせることができるようになると発表された。
11月1日週の週末にはリリースされる。
メタバース研究所設立
また、日本におけるメタバースの創造・発展に寄与する「メタバース研究所」を、東京大学稲見研究室、京都大学神谷研究室の協力のもと設立すると発表した。
東京大学稲見研究室の稲見昌彦教授は、「Clusterカンファレンス – メタバースを再定義する –」にリアルアバターで登壇し、自身の人間拡張技術の研究に至った経緯を説明。
「幼い頃、空を自由に飛びたいと夢見て練習していたが、身体は思うようにならないと挫折した。そんな時に、1984年ロサンゼルスオリンピックの開会式でロケットベルトで空を飛んでみせたロケットマンの演出に、技術があれば人は空が飛べると気づいた。それ以降、技術の力で人間の能力を拡張していく、と大学で研究している」(稲見教授)
稲見教授は、「今後、Clusterと一緒に最先端の研究をしていきたい」と「メタバース研究所」の設立に当たっての思いを伝えた。
昨今、インターネット上に構築される新たな世界として「メタバース」が全世界的に注目されている。新型コロナウイルス感染症拡大によって、リアルで集まる体験が制限されたことで、現実世界に代わる新たな場所としてその利用が加速し、ゲームなどのエンターテイメントシーンだけでなく、ビジネスシーンにも大きな影響を与えている。実際に、内定式や入社式などの企業の式典、日常的なミーティングやプレゼンテーション発表などを実施するための新たなコミュニケーションの場として、バーチャル空間が選ばれるようになっている。
今回の研究所発足は、クラスター株式会社が、日本社会におけるメタバースのあり方を再定義し、真の価値創造をはかるための取り組み、としており、加藤代表取締役CEOは「人類の創造性を加速する」というミッションのもと、カンファレンスの参加者に「みんなで一緒にメタバースを作りましょう」と呼びかけるとともに、「誰もがバーチャルの恩恵を受け、誰もがクリエイティブになれるのがメタバース」と再定義した。