10月5日から7日まで、kudan house(旧山口萬吉邸)で『写真家・増浦行仁の感性とサステイナブル・ワールド』という、ビジネス領域におけるアートとコミュニケーションのこれからのあり方を提案する特別アートプログラムが開催されている。
写真を展示する写真展とは謳わず、アートプログラムとはなんだろう。興味がわき、初日に訪れた。
九段下駅から歩いて5分ほど、ビルや学校が建つ一角で樹々に囲まれた洋館が今回のアートプログラムの会場、kudan house(旧山口萬吉邸)だ。
今回は、会場であるkudan houseのコンサルティング・運営実務を行っている株式会社NI-WA(東邦レオグループ)が初めて行った自主企画。kudan houseは9月にリノベーションが完了し、邸宅から会員制ビジネスサロンに生まれ変わった。kudan houseの運営者として空間活用の提案の一つとしても展開された。
『写真家・増浦行仁の感性とサステイナブル・ワールド』は、12 歳で写真家になると決め、18 歳で渡仏し、伝説の写真家ギィ・ブルダンのアシスタントを経てパリで芸術の洗礼を受けた増浦行仁氏が、苦悩の時代を超えローマで奇跡の光と出会い、日本の精神文化へと導かれた軌跡を巡るというもの。
企画したNI-WAの熊原淳さんは、kudan houseのエントランスで出迎えると、すぐ脇の客間クラシカルルームに通して応接セットへと促しながら「築91 年の歴史的建築物kudan houseを舞台に審美眼を磨くことを目的にしたアートプログラムです」と説明し、ふと壁に視線を移した。応接セットのソファから目線を上げると増浦行仁さんの力強い作品が壁にさりげなく掛けられている。その作品に対峙するように反対側の壁にも、もう1枚。空間にいかに融合するのか、作品を何枚も空間にかざしながらその1枚を探るという作業を繰り返し、アートプログラム開始前日ぎりぎりまで用意したという。
クラシカルルームから別の部屋へと移動しようとすると、「部屋を出られる前に、このドアをどうぞ開けてみられてください」と促される。そこには…、作品の写真はこれからみる方のためにとっておくとして、それからも作品を鑑賞するというよりも、作品と空間との調和を楽しみながらの体験がつづく。
kudan house(旧山口萬吉邸)は、90年前の昭和2年に、東京タワーの構造設計をした内藤多仲をはじめ木子七郎、今井兼次という日本を代表する3人の建築陣が携わり建設。重厚感ある家具、客人をもてなす広間や宿泊用に使われた和室、各階に設けられたバルコニースペースなど、和洋折衷の要素が取り入られている。2018年9月からは会員制ビジネルサロンに生まれ変わり、次世代ビジネスの創出と文化発信のプラットフォームとして、築90年からのその後の未来に向かってサステナブルに展開していく。
特別アートプログラム後には、ブランドの招待制ポップアップショップや大企業とスタートアップ企業のフラットなミーティングなど、さまざまな利用予定があるという。
「運営のNI-WAはこのkudan houseのキュレーターのような存在。『利用者視点』の考え方をもとに、たとえば商品やサービスの世界観とkudan houseのもつ空間美とを融合させて提案していきたいですね」(熊原さん)
『写真家・増浦行仁の感性とサステイナブル・ワールド』は、7日まで。6日・7日は若干の余裕があるという。予約は専用ページから。
<開催概要>
『写真家・増浦行仁の感性とサステイナブル・ワールド』
■日程 : 2018 年10 月5 日(金)〜7 日(日)
■時間 : 1 日5 回の限定開催(10:00、11:30、13:00、14:30、16:00)
■会場 : kudan house(旧山口萬吉邸) 東京都千代田区九段北1-15-9
■参加費:無料(時間ごとの先着順予約制)
■申込み:専用ホームページよりhttps://kudan.house/