11月28日から「第23回新聞製作技術展(JANPS2018)」が開幕した。会場は東京ビッグサイトの東6ホールで、会期は11月30日までの3日間の開催。開場は10時から17時まで。
JANPSは3年に1度開催されており、新聞社や、新聞製作機器・システムメーカーが一堂に会し、最新技術を展示する。日本新聞協会の主催、日本新聞製作技術懇話会(CONPT-JAPAN)の協賛で開催される、新聞製作技術全般を対象とした専門展示会だ。
主催者の日本新聞協会の篠原菜子さん(編集制作部技術・通信担当主管兼デジタルメディア担当主管)は、
「3年ぶりの開催となりますが、今回はAIや働き方改革をキーワードにしたソリューションが新たに展開されています。
JANPSは新聞製作技術における組版システムなどの上流工程から刷版、輪転機などの下流工程までを網羅しています。AIを活用した技術は、紙面制作や取材支援など上流工程をはじめ、工場でのIOTを含む業務全般において提案されています。また労務支援ツールを使った働き方改革の提案も見受けられました。下流工程では引き続き省エネ・省資源や省力化をサポートする視点からの最新の技術・製品が提案されています」
と今回の傾向をこう語る。
実際に会場を回ると、AIをキャッチコピーにしたブースも多く、朝日新聞社ブースでは、人工知能研究の取り組みの一つとして自動要約・見出し生成研究のデモを展開していた。
また、同ブースでは朝日プリンテックがデジタル印刷機の活用事例としてパノラマ印刷を展示、配布。新聞紙面の連続した4ページ(約160cm幅)に1つの原稿を印刷するシステムで、等身大の人物再現などができ、イベントでもインパクトある販促物のニーズや結婚式新聞として参列者への小ロットの配布用途にも対応しているという。
新聞社に向けた販路拡大のソリューションサービスも展開されており、ビジネス・インフォメーション・テクノロジー(BIT)のブースではeプリントサービスを紹介。地方紙、業界紙などの様々な情報を電子データ(PDF、JPG)でFTPやメールから同サービスに入稿処理するだけで全国のコンビニマルチコピー機で販売することができる。サービスを体験できるデモ展示として実際のコピー機を展示。その場でニューヨークタイムズの最新発行紙をプリントアウトしてみせていた。
「新聞や出版版元に限らず、コンテンツをお持ちの方には、ローソン、ファミリーマート、セブンイレブンの複数のコンビニチェーンを販路とでき全国展開を図ることができること、コスト0円からはじめられるレベニューシェアサービスであることで利用者は広がりを見せています。現在コンテンツ数は420ほど。
イベントやファン運営とも相性がよく、たとえば、アイドルやプロレスなどコアファンの方がいますので、ライブや試合の写真をプロマイドにして期間限定でeプリントサービスで配布し、イベントでプリントしたプロマイドに、本人にサインをしてもらうなどの用途で人気があります」(BIT松田直樹さん)
新聞印刷技術業界では、前回のJANPSでよく見受けられた自社で刷っている実際の紙の新聞を配布する姿は少なくなり、デジタル化が進んでいると関係者は話す。
JANPSに毎回参加しているというデジタル印刷の導入コンサルをするブライター・レイターの山下潤一郎さんも「前提として『印刷をする』からどうデジタルを使って『情報を配信する』かに大きくシフトしています。記事作成から配信までの情報提供をどう柔軟にやっていくかという流れのなかでデジタル印刷は発展していて、デジタル印刷新聞もたとえば100部全部異なる写真での差し込み印刷に対応するなど、数年前と比べてさらに簡単に魅力的なものがつくれるようになっています。ぜひ、イベントでもどんどん活用してください」と話す。
JANPSは最新の新聞印刷技術や配信手法を使った、新しいイベント活用、販促活用のソリューション探しとしても参考になった。新聞業界、印刷業界だけでなく、イベント主催者、企画者、コンテンツホルダーにとってもヒントをもらえる展示会だ。
この記事のタイトルは人力での作成だけれど、「AIでのタイトル付けを導入できれば、もっと早く、ライブ感ある記事を多く配信できるようになる」とまずは上長に打診したいと思う。
第23回新聞製作技術展(略称:JANPS2018)
テ ー マ: 今だからこそ正確な情報を ─ 読者に届けるテクノロジー
会 期: 2018年11月28日(水)~30日(金)
開催時間: 10:00~17:00
会 場: 東京国際展示場(東京ビッグサイト)東6ホール
主 催: 一般社団法人日本新聞協会
協 賛: 日本新聞製作技術懇話会(CONPT-JAPAN)
入 場 料: 無料(登録入場制)
出展内容: 新聞社の各種業務を支える技術の展示・実演