2/15㈮、一般社団法人日本コンベンション協会(略称:JCMA)が主催するスキルアップセミナーが、コングレスクエア日本橋で開催された。MICE業界のトップランナー企業が多数参画するJCMAにおいて、現在イベントの現場で活躍するメンバーで構成された人材育成委員会が主催するセミナーということもあり、会場にはイベント業務に深く携わる実務経験豊かな会員が多く参加した。
登壇したのはYahoo!、Microsoft、Google出身の精鋭が集まり立ち上げられたオンラインのイベントプラットフォーム「EventRegist」を運営する、イベントレジスト株式会社 取締役 最高業務執行責任者の小笹 文 氏だ。
「次世代へ進化する、イベントテクノロジー」と題したセミナーは、ITテクノロジーの進化に伴う国内外のイベント業界の急速な変化を可視化出来る豊富な事例・サービスの紹介を軸に、今後見据えるべきテクノロジーへの対応について、具体的な提案が盛り込まれたイベント従事者へのHow to的な構成となっており、セミナーを通して聴講者がしきりに頷きながら話を聞く様子が印象的だった。
冒頭「イベント(日本では展示会、見本市と称される事案)において、海外でのイベントテクノロジーの活用は、日本の現状よりも進んでいる状況にある。」と小笹氏は語る。
オンラインチケッティングやMA(マーケティングオートメーション)ツールによるデータ分析等様々なコンテンツが海外イベントで既に主流化されている事例が多数紹介される中、特に今後国内で急速に利用が見込まれると考えられるイベントテクノロジーはセキュリティ管理が可能なツールだ。例えば海外ではセキュリティ対策に有効なオンラインチケット(ID管理)が主流化しているが、日本ではまだまだ名刺を差し込む紙仕様のPassが多い。
入退場管理や来場時のペーパーレス化、あるいは会場内でのヒートマップ管理に至るまで、来場者にIDを付与して管理するメリットは複数に渡る。国内でもBtoC案件では既に積極活用されているケースも目立つが、今後ラグビーW杯・東京オリンピック2020等国際的なスポーツイベントの開催で一気に普及し、BtoB案件でも採用されていく見通しだ。本セミナーの受付でも実際にEventRegistの最新サービス、顔認証pass「KAOPASS(カオパス)」での受付が実施されており、その手軽さと様々なサービスに紐づられるであろう先進性を実体験したことで、テクノロジー活用の重要性を認識することが出来た。
イベントを企画運営していく立場の心得として小笹 氏が掲げたのはトライ&エラーを前提としたツールの積極活用だ。イベントを主催する顧客がオールドトラディショナルな考えが抜けきらないケースでも、有用性を共有し、前向きな姿勢で進めていくこと。100%の成功の保証も大事だが、まずはリスクよりもメリットを知ってもらう導きが重要になるという話に来場者の多くは、自身のイベントテクノロジーに対するアップデートを感じとったようだ。
セミナー後に開催された懇親会は活発な意見交換に溢れており、スキルアップセミナーの名に相応しい時間だったといえるのではないか。
(寄稿:株式会社インフィールド 初瀬広壮)