ロボットがいる少し先の未来に触れるーロボットワールド関西・横浜  展示会開催宣言

株式会社エグジビションオーガナイザーズ 代表取締役社長 中川治さん

6 月にインテックス大阪で予定されていた関西ロボットワールドが 8 月26・27日に延期しての開催となった。運営する㈱エグジビションオーガナイザーズ代表取締役社長の中川治さんに、昨年につづく延期を決定した際の経緯や心境、ロボットワールドの見どころや展示会産業の魅力などをうかがった。

多くの産業分野にわたる ロボットワールド

子どものころ、ロボットアニメや漫画が大好きだったので、そのロボットの発展に展示会を通して関われているのはとてもうれしく思っています。

大学を卒業して 27 年間、ずっと展示会の仕事をしています。自動車、機械部品、医薬品製造、住宅、食品、文房具、事務用品、出版など多様な産業のお手伝いをしてきました。

2016 年にエグジビションオーガナイザーズを設立し、「ロボットワールド」を初開催しました。展示会産業に身をおいていると、常に新しい産業があれば、展示会が開けないか考えるのが習慣になっていますが、ロボット産業の展示会について考えるようになったのは2013 年に展示会場でみた日産リーフの自動運転でした。その時はまだコンセプトカーとしての出展だったと思いますが、こういう未来をつくる技術を集めた展示会と思ったのがきっかけでした。

2015 年に当時の安倍内閣の成長戦略にロボット産業が加えられたこと、ソフトバンクから Pepper がリリースされたこと、それからドローンの登場などがありました。展示会を開くには、市場性、出展者となる参入企業、どういう現場で使われるか、それから将来どれくらい伸びそうか、が重要になります。その時点でロボット産業はすべての条件を満たしていて、すぐにでもやらないとと、急ピッチで動き出しました。

ロボットワールドは、サービスロボット展、産業用ロボット展、次世代モビリティ展の3つの展示会の総称です。初開催時はサービスロボット展のみの開催でした。産業用ロボットは工場内の決まった条件下での使用が多いのに対し、サービスロボットは人と触れ合い、あらゆる状況に対応するため、AI(人工知能)技術が大きな役割を果たします。

ハードウェアを開発・製造する企業はロボットに特化したメーカーが多いのですが、AI は大学で研究され、IT 業界で開発されているので、売る、買うという商談以前に、開発段階で産学官のマッチングが必要になります。

サービスロボット展の好評をうけて、翌年産業用ロボットも開催し、昨年は自動車・交通関連の次世代モビリティ展をスタートし、また、関東圏の関係者向けにロボットワールド横浜を初開催し、年 2 回開催となりました。

中止の決断にホッとした部分も

長くこの業界にいて、展示会が人と人をつなぎ多くの会社がビジネスを成功に導いたところを目の当たりにしてきました。なかでもロボット産業は異業種との出会いや、現物が動くところを見たり、素材に触ったり、技術者にいろいろと相談しながら自社用にカスタマイズしていくことが重要で、オンライン化が難しい分野だと考えています。

そうした事情もありギリギリまで開催を考えていましたが、今年 4 月から 5 月の緊急事態宣言時には、大阪は東京以上にコロナの感染者数(検査陽性者)が多く、無観客要請がGW 後も続くという状況になってしまいました。

昨年 4 月の緊急事態宣言がここまで長引くとは信じられませんでしたが、やむなく 8 月に延期することを決断しました。

昨年に引き続き 2 年連続の延期ということになり、関係者の方に申し訳ないと思いながら連絡したのですが、皆さまの反応はあたたかいものでした。出展企業の皆さまはすでに事前準備をはじめていたのですが、お客さまを呼べないような状況だったり、従業員の安全にも配慮しなければいけないので、ホッとされた方も多かったようです。早めの決定に感謝していただくことすらありました。

また、会場費について、新型コロナによる緊急事態ということで特別な対応をしていただいたことも、助かりました。

介護から物流拡がる市場と来場者

機能面からみてロボットに顔はそんなに必要ないのですが、サービスロボットは人間の形になったり、やわらかい素材を採用するものが増えたりしています。それはロボットが人間の生活環境に入ってきて、コミュニケーションが重視されてきたのだと感じています。

ロボット技術は筐体であるハードと AI などのソフトの両輪になっていますが、ソフト面ではスタートアップ企業や大学発ベンチャーが多く参入するようになっています。そのため、これまで以上にコラボレーションのマッチングの場としての役割が重要視されるようになっていきそうです。

また応用技術の進化や低価格化が進んできたことで、ロボットの活躍の場が増えてきました。工場、食品、飲食、接客、商業施設など、実に多岐にわたっていて、各分野でロボットを利用した新サービス、新規参入したいという企業が増えて、いまやあらゆる産業が来場の対象になっています。

近年は、介護福祉関連でコミュニケーションロボットや介護士のアシストの需要が高まってきました。今年はコロナによって増えた宅配、つまり物流の省力化・自動化のためのロボットが注目を集めそうです。ロボットが使われるシーンが増えるにつれて、毎回新しいロボット、新規参入企業があるので、最新情報が集まるロボットワールドで、最先端技術と、少し先の未来に触れてください。

開催概要

関西ロボットワールド 2021
会期:8 月 26 日(木)・27 日(金)
会場:インテックス大阪

横浜ロボットワールド 2021
会期:11月10 日 ( 水 ) ・11日 ( 木 )
会場:パシフィコ横浜

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