[マイケル・ソイさんインタビュー]ケニアの都市文化、メンタリティ感じるアート

MichaelSoi,マイケルソイ
「SEX & THE CITY Ⅴ」ポスター

「SEX & THE CITY Ⅴ」ポスター

2月にケニア・ナイロビで開張された「SEX & THE CITY Ⅴ」。ケニアを代表する現代アーティストMichael Soi & Thom Ogongaの2人の展覧会だ。この会期前、制作現場でマイケル・ソイさんのインタビューを実施。社会的風刺やシリアスな問題をコミカルに表現する彼の視点や.作スタイルについて時味と言っていただいた。

なお、日本でソイさんの作品に出会える機会が、4月27日から渋谷スクランプルスクエアの「アフリカンミニフェスat渋スク」にて展開される。「ソイの表現は、ケニア人らしく、シュールだけど明るい」と評されるが、彼の作品からはケニアの太陽や風士が育んだメンタリティが感じられる

(編集:樋口陽子/取材・撮影:堀田乃倫子/通訳:遠藤真理)

 

 

――ナイロビでの展覧会タイトル「SEX & THE CITY Ⅴ」にはどんなメッセージが込められていますか

マイケル・ソイさん(以下、ソイ) 「SEX & THE CITY Ⅴ」は、論争の的となっている、ナイロビの街の性産業を探求し続ける作品です。同意している大人同士の個人的な関係については、時には不快な思いを抱かせることもありますが、この展覧会では、一般的に受け入れられているが不道徳と見なされているライフスタイルのスナップショットを描いています。乱行を美化する意図はなく、私たちがナイロビに住んでいて垣間見る、この都市空間の社会的現実のパロディーとして、イメージ下にある深さを熟考するよう、私たちを刺激します。

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場でのオープニングパーティ

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場でのオープニングパーティ。中央がマイケル・ソイ氏

 

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場でのオープニングパーティ

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場でのオープニングパーティに多くのファンが駆けつけた

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場でのオープニングパーティ

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場でのオープニングパーティで作品と記念撮影する参加者

 

――いまの社会風刺的な創作スタイルになったきっかけは

ソイ 絵を描きはじめた当初は、わかりやすくケニアの農夫やサファリの風景を描くように勧められました。でも、ナイロビの都心に生まれ育ったから実際に見たことがなかった。サファリを初めて訪れたのも46歳の時です。それで、当時、まずは目の前にあるクラブやアベニューなど、ありのままのナイロビの街の風景を描くことからはじめました。

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場前

「SEX & THE CITY Ⅴ」会場はケニア・ナイロビで開催

 

――(アトリエにて)いま描いている作品は、記憶の風景ですか、それとも創作ですか

ソイ 毎週日曜に行くバーで目にする光景からイメージが湧いてくるんです。午後1時から夜10時まで開いているからよくそこにいます。

――ソイさんは楽しそうに描きますね

ソイ 色を塗るのは楽しいけれど、下絵を描くのは大変だよ。

アトリエで制作するマイケル・ソイ氏

アトリエで制作するマイケル・ソイ氏

――好きな画家は

ソイ パブロ・ピカソ。面白い人だよね。女性のことが大好きで同時に何人もの女性を好きになる。彼が何人の女性と結婚したか知っている?5人だよ。結婚するたびに家を買ってその家を自分のアートで一杯にしていた。5人と結婚したから5軒の家を持っていた。

――ピカソはアフリカの影響を受けているでしょう

ソイ そうだね。世界に影響を与える国々ではないと言われるアフリカだけど、彼に影響を与えたね。

――これからアフリカの国々は、先進国より強くなると思いますか

ソイ 答えはノーです。植民地時代の問題が残ったままだですから。たとえばナイジェリアやケニアでは僕たちの文化や宗教だけじゃなく頭脳も奪われた。オックスフォード大学に留学して卒業して生まれた村に戻っても村の人たちの暮らしは変わっていない。それじゃ国は変わらない。これがアフリカの問題です。

貧しさは経済の問題だけじゃなく、人々の考え方から生まれるとも言えます。

アーティスト マイケル・ソイさん

アーティスト マイケル・ソイさん

1972年生まれ。ケニアのナイロビ在住。アメリカやヨーロッパから注目を浴びる作家で、ケニアのみならず、アフリカを代表する現代アーティスト。2021年6月“今知っておくべきアフリカの現代アーティスト6人”としてIndustrie Africaで選ばれる。

 

マイケル・ソイさんのアート作品に関する問合せは、株式会社neemaまで。Twitter、またはFacebookのDMより連絡ください。

 

「アフリカ ミニフェスat渋スク」

会期:4月27日(木)〜5月10日(水)

会場:渋谷スクランブルスクエア 5F(東京都渋谷区渋谷2-24-12)

概要:マイケル・ソイさんをはじめとしたアフリカのアーティストやカルチャーを感じるコンテンツが多数参加する

「アフリカミニフェスat渋スク」ではマイケル・ソイ氏の作品も多数展示販売される

 

ケニアのアーティスト制作コミュニティ

ケニアの首都であり、最大都市であるナイロビから車で5分圏内に、アーティストのアトリエが集まるコミュニティのような場所がいくつかある。ここでは、2つを紹介。共同制作や流派として集まるアトリエ群ではなく、独立したアトリエが1カ所に集まる形式は、欧州でもめずらしく、制作コミュニティとして注目されている。

 

Go Down Art Centre

マイケル・ソイ氏が所属し、アトリエを置いているアートセンター。敷地内には複数のアーティストのアトリエが点在し、キオスク(簡易食堂)もある

Go Down Art Centre

Go Down Art Centre

Kuona Artist Collective

3000㎡の敷地内にブレハブでできたアトリエが点在する。マコンデ彫刻作家や絵画作家など、さまざまなジャンルのアーティストが集まる。以前、ソイ氏が所属していたことも。

Kuona Artist Collective

Kuona Artist Collective

Kuona Artist Collective

Kuona Artist Collective

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