被災地域の企業数は9万6,158社 売上合計29兆6,525億円 従業員数100万人

令和6年能登半島地震,被災地域の企業数

1月1日16時10分頃、石川県能登半島を震源とする地震(令和6年能登半島地震)が発生。その後も強い余震が続き、各地で道路の寸断や深刻な渋滞が発生し、支援活動にも支障をきたしている。

東京商工リサーチ(TSR)では、輪島市や珠洲市など被災地に本社を置く企業をデータベースから抽出し、分析。1月5日に「令和6年能登半島地震「被災地企業」調査として発表している。

それによると、国土交通省が公表した「土砂災害警戒情報基準」の暫定基準を設けた4県の27市6町1村に本社を置く企業数は、合計9万6,158社(新潟県4万2,933社、石川県2万9,150社、富山県2万3,333社、福井県742社)で、従業員数は100万1,732人、売上高合計は29兆6,525億円にのぼる。

産業別の売上高は、「サービス業他」が8兆2,590億円と約3割(構成比27.8%)を占め、次いで、製造業の6兆5,769億円(同22.1%)、卸売業5兆4,751億円(同18.4%)の順。

従業員数は、最多が「サービス業他」の35万4,141人(同35.3%)。次いで、「製造業」の23万1,432人(同23.1%)、「建設業」の13万4,288人(同13.4%)と続く。

地震直後、高速道路の一部や鉄道が止まり、各地で土砂崩れや地割れが発生し、道路やライフラインが寸断した地域がある。政府は被災地への支援を打ち出し、日本銀行も金融機関等に預金者、事業者への配慮を要請している。被災地域は漆器、仏壇、揚浜式製塩など地場産業が盛んで、観光客も多い地域だ。こうした地場産業の復興と何よりも行方不明者と被災者の救出を最優先に、住民の生活復旧への支援が急がれる。

【対象地域】
石川県(金沢市、七尾市、小松市、輪島市、珠洲市、加賀市、羽咋市、かほく市、能美市、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町)、富山県(富山市、高岡市、氷見市、小矢部市、南砺市、射水市)、福井県(あわら市)、新潟県(新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、燕市、見附市、糸魚川市、妙高市、上越市、佐渡市、南魚沼市、阿賀町、刈羽村)

※本調査は東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データ約400万社から、石川県、富山県、福井県、新潟県の対象地域に実質本社を置く企業を抽出し、産業、売上高、従業員数などを分析したもの

被災地域の企業数は9万6,158社、サービス業他が3万5,891社で約4割を占める

被災地に実質本社が所在する企業は9万6,158社ある。新潟県が4万2,933社(構成比44.6%)で最も多く、以下、石川県2万9,150社(同30.3%)、富山県2万3,333社(同24.2%)、福井県742社(同0.7%)だった。

市区郡別では、最多が石川県金沢市の1万7,472社。次いで、富山県富山市1万2,822社、新潟県新潟市中央区6,904社の順となっている。

産業別では、「サービス業他」が3万5,891社(同37.3%)で最も多い。内訳は、専門サービス業(他に分類されないもの)が5,182社、医療業が4,936社、政治・経済・文化団体が4,343社、洗濯・理容・美容・浴場業3,642社、飲食店3,085社など。

次いで、建設業が1万8,256社(構成比18.9%)、小売業が1万682社(同11.1%)、製造業が1万580社(同11.0%)で、この4産業が1万社を超えた。
最少は、金融・保険業の1,255社だった。

 

売上合計は29兆6,525億円 サービス業他が約3割

被災地に本社が所在する9万6,158社の売上高合計は、29兆6,525億円だった。
産業別の売上高では、最大が「サービス業他」が8兆2,590億円(3万5,891社、構成比27.8%)。
次いで、「製造業」の6兆5,769億円(1万580社、同22.1%)、「卸売業」の5兆4,751億円(7,059社、同18.4%)と続く。

都道府県別では、新潟県が13兆5,314億円、富山県が8兆4,666億円、石川県が7兆5,160億円、福井県が1,383億円。市区町村別では、富山市(富山県)が5兆4,226億円で最も多く、金沢市(石川県)が5兆3,824億円、新潟市中央区(新潟県)が4兆355億円、長岡市(新潟県)が1兆8,975億円、高岡市(富山県)が1兆6,397億円と続く。

被災地の産業別 売上高構成比

従業員数は合計100万1,732人

被災地に本社が所在する9万6,158社の従業員数の合計は100万1,732人。新潟県が48万892人、富山県が25万8,099人、石川県が25万5,775人、福井県が6,966人だった。

産業別では、最多が「サービス業他」の35万4,141人(構成比35.3%)。次いで、製造業23万1,432人(同23.1%)、建設業13万4,288人(同13.4%)と続く。業種別では、最多が社会保険・社会福祉・介護事業の6万8,615人、以下、総合工事業の6万1,308人、医療業の6万1,098人の順。

被災地の産業別従業員数構成比

被災地の産業別従業員数構成比

主な業種別は「総合工事」で8,009社、従業員数は6万1,308人

被災地に本社が所在する9万6,158社の主な業種では、最多が「総合工事業」が8,009社で、従業員数は6万1,308人、売上高は2兆円だった。次いで、職別工事業の5,938社(従業員数3万5,191人、売上高6,652億円)、専門サービス業の5,182件(同8,714人、同1,347億円)。

なお、宿泊業は839社で、従業員数は9,821人、売上高は1,279億円だった。

業種別 能登半島地震被災地区

業種別 能登半島地震被災地区

 

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