オンライン× リアル空間のダブルスタンダード体験会 & [ PHASE ]出展者のいない展示会の新形式
品川駅港南口に新しくオープンした「MeetingSpace AP品川」にて、コロナ対策を施したリアルイベント、WEB会議・LIVE配信の実際がわかる内覧会「1st PREVIEW『オンラインEvent × リアルEvent』空間のダブルスタンダード体験会」が9月28日(月)・29日(火)の2日間にわたり開催された。
29日のみ行われたセミナーではリアルタイムでのyoutube配信も行い、併せてSUPER PEMGUIN株式会社・竹村尚久さんがプロデュースする出展者のいない新しい展示形式を提案する「PHASE in AP SHINAGAWA」も開催され、新会場の内覧会に加え新たな様式でのハイブリッド型イベント・展示会を体験できる内容となった。
セミナー①「 リアルさいこう!サイボウズが社内外イベントを重視するワケ 」
スピーカーに鈴木 亜希子さん(サイボウズ株式会社 ビジネスマーケティング本部プロモーションディレクター 兼 遅刻王)と福西 隆宏さん(サイボウズ株式会社 人事本部感動課)を迎え、リアルイベント再開に向けての考え、サイボウズの企業文化やオンラインイベントを経て今感じているリアルイベント価値などについて語った。
リアルイベント再開の判断基準
−− 今スライドに今年4月から12月までの予定が出ていますが、福西さん、社内イベントはほぼオンラインになったんですね。
福西 そうですね。今まではむしろ密を求める感じで集まっていたんですが、オンラインに切り替えました。
−− 例年開催しているイベントも実施するけれど、全てオンラインに移行されているんですね。
福西 はじめは中止や延期といった話も出ていたんですが、自分が関わるものを延期するのは嫌だな、と思ったので(オンラインで)「やる!」という事にしました。
−− 社外イベントの方は、4月から8月まではオンラインへの切り替えや延期がみられますね。9月からはリアルの展示会を再開して、11月には自社イベント「Cybozu Days Tokyo」をリアルイベントとして開催されるという事で、私達イベントの業界でも「嬉しい!」と拍手を贈るような声があがっています。
鈴木 まだまだ(リアルイベントは)少ないですね。でも今日はこれだけ多くのお客様が集まってくださっているし良かったな、と思っています。
−− イベント主催者の皆さんが特に気になっているのは、「リアルイベント再開の判断基準」だと思います。そこで鈴木さんにお伺いしたいのが、例えば自社イベント「Cybozu Days」はChainaはオンラインTokyoはオフライン、大阪はオフラインとオンラインのハイブリッド型になっています。こちらはどいう風に判断されているんでしょうか。
鈴木 Chainaについては、登壇者である弊社長が例年中国へ渡航していたのですが、それが現在の状況では難しいだろうという事でオンライン化しました。年表には記載がないのですが仙台は中止にしていて、東京から仙台に人が大勢移動するのはやめたほうが良いだろう、という事そのようにしました。東京に関しては会場が広いのと、換気が可能という事で開催することに。大阪は東京に比べて会場が狭いので、リアルに起こしいただける人数が減るという事で併催にしています。
−− 会場のキャパシティや設備状況で判断しているという事ですね
鈴木 そうですね。あとは人の移動も判断基準にしています。感染者数の多い地域から少ない地域への人の移動があるのか、というところも見て決めています。
オンライン/オフラインの可能性
−−リアルの価値についてお伺いしたいと思います。今回のトークテーマは「リアルさいこう!」とひらがなで表現していますが、この「さいこう」は「リアル最高!」なのか、(リアルとオンラインの)ハイブリッド型イベントを検討し考える「リアル再考」なのか、お二人はどのように感じていらっしゃいますか?
福西 僕はオンラインとオフラインは比べられるものではないと思っています。比較するとオフラインのほうが勝る事が多いと思うのですが、特定の条件下であればオンラインの方が適しているイベントも開催できるというだけなのかな、と。
−− 感動はオンライン・オフラインどちらでも得られるものでしょうか?
福西 できない事はなんですが、熱量みたいなものを感じるのはオンラインだとちょっと難しいところがあって。今日のこういう場所に来るとなると家を出てから到着までの感情の盛り上がりもあるのですが、PCのボタンポチッと押して参加するだけだと熱を発するのは難しいな、とは思います。ただ、多拠点をつなぐオンラインイベントは元々開催していましたし、そちら寄りに舵を切ってみたという感覚です。
−− 鈴木さんは如何でしょうか?
鈴木 会場装飾が好きなので、個人としてはオフラインの方がいいなと思っています。ただ、オンラインは地域を問わず参加できるというところがメリットとして大きいなと感じています。出来る事ならハイブリッド型が良いなと思いつつも、大きなイベントは協力業者さんに依頼出来る部分があるのですが、小さな規模のイベントをハイブリッドにするのは意外に大変で、音響などの用意が難しいなと感じています。そういうときには今日のように設備が整った会場さんを利用するもの一つの手かなと思います。ここは回線1ギガとありますし。
福西 こういうところ重要ですよね。
鈴木 同時刻に配信が重なるとトラブルの危険性もありますが、こういうプロがいらっしゃる会場だと安心ですね。
セミナー②「 外部会場を活用するオンラインイベントの使い方、ハイブリッドへの移行 」
セミナー第2部には、スピーカーに原田 千亜紀さん(株式会社ヤプリ PR&オフラインマーケティング部 部長)と堀野 勝也さん(ALPHABOAT合同会社 マネージャー/チーフエバンジェリスト)が登壇。
コロナ禍の影響でイベントをオフラインからオンラインに切り替えるにあたり行った施策や、プロの力を借りる事でどのような変化があったのか、リアルな現場の話を聞くことができた。
オンラインに振り切った事により集客に対するハードルやクォリティが変化
−− まずは「ヤプリセミナー」の開催背景とそれがどのように進化していったのかお伺いしたいと思います。
原田 認知度アップから顧客フォローという段階において、ヤプリ全体としていくつかオフラインイベントがある中で、私がミッションを担っている部分は「自社カンファレンス」「展示会」「メディア協賛セミナー」「自社セミナー」です。
ただ、4月・5月は「自社カンファレンス」「展示会」「メディア協賛セミナー」がすべて開催出来なくなってしまい、リード獲得手段として「自社セミナー」だけが残りました。しかもオンラインでやるしかない状況になり、4月から今まで(オンライン自社セミナーの)回数を重ねてきたというのが現状です。
実はコロナ禍前までは自社セミナーは月1回程度しか開催していませんでした。オフラインでの開催だと集客や当日の運営など体力が要るものだったので開催できて月に1−2回程度でしたが、コロナ禍で手段がオンライン自社セミナーしか残っていなかったので、4月から9月まで全部で60回開催してきました。計算してみたらそのぐらいになっていましたね。えぐい笑。
−− これは体制的には大丈夫なんですか?
原田 できました笑。オフラインだと大変だった集客ですが、オンラインだと集客ハードルは下がりました。毎週◯曜日はこのテーマというふうに週刊のセミナーがあるのですが、この週刊に関してははその月に申し込んだ方が全員みられるようにしました。そうすると1回きりではなく継続的に観ていただけるという事でこちら側の集客に対するプレッシャーを下げる事ができたと思います。目的も「リード獲得」「リード育成」と分けたセミナーを用意してやっています。
育成に関しては少人数でやるほうが良かったりするのでZoomでコミュニケーションを取る、というふうにしていました。
獲得に関しては4月・5月に申し込みがめちゃくちゃ来て「オンラインすごい!」となっていたんですが、6月に入ってからオンラインセミナーの乱立がみられました。この時このまま普通に開催しても他のセミナーに対抗できないな、という事でプロに依頼するようになりました。約300名以上の集客を目標とするときにはプロに依頼する形にしました。
−− ではプロに依頼してどう変化したのかというところを。
原田 はじめのうち自社セミナーはZoomを使用していましたが、Zoomの場合は視聴者側の設定で見え方が変わってしまったり、良いカメラで撮影しても結局配信すると画像が荒くなってしまったりという問題もあります。今誰が話しているのか分かりづらいという声もありました。
それがプロに頼んだ結果どうなったかというと、オフィスを背景にしてスライドはこの位置という設定ができたり、常にアンケートのQRコードを右下に出しておく、といった事もできるように。あとはカメラワークを変えたり、イベント会場として使うためにきれいに作ったオフィスも活かせるようになりました。
−− アングルや登場シーンもテレビ番組を観ているようですね。
原田 はい、乱立するウェビナーにはテレビかな、と思ってそのようにしました。話している人にフォーカスをあててもらったり、今話しているテーマのテキストを表示させたりも対応してもらっています。
−− 映像のクオリティが上がった事により、効果や満足度というのは上がったんでしょうか。
原田 ひとつ言えるのは、音声を均一に調整していただけるところが効果的かと。(ウェビナーは)ながら聴きをする方が多い中で、どれだけ音声で世界観に引き込めるかという部分はすごく重要だと思っています。
ウェビナー向きの配信ツールでの設計と視聴者への配慮
−− そしてその映像を支えているのが堀野さんという位置づけですね
堀野 はい。コロナ禍を通して何が起きたかという意識変化の調査結果をみてみると、増えた事の3位に「リモート/オンライン会議をすること」4位に「オンラインセミナーに参加すること」というのがあります。では、これから何か起きるのかという調査でも「オンラインセミナ・ウェビナーに参加すること」「リモート/オンライン会議をすること」というのが残っているんですね。
オンラインセミナーやライブ配信って「一時の流行りだ」と言われる事も多いのですが、我々としては流行りではあるものの、文化としてはずっと残っていくものじゃないかと思っています。
−− コロナ禍で寄り道したというより、進化の過程でこうなったと言うことでしょうか
堀野 そうですね。どちらかと言うと動画からライブ配信へ移り変わる時間がコロナ禍によって早送りされたかな、というふうに思っていて、そこの波に乗り遅れないようにうちも乗っかろうというような形でやっています。
B2Bにおいてもライブ配信数の増加は顕著です。そんな中でどういうふうに競合との差別化をしていくのかという事を意識している原田さんのようなマーケターさんたちの為に我々は何をやるかという考えた時、クォリティーに振る配信をやろうという形になりました。
登壇者の人数、資料の表示有無、企業ロゴなどその他の要素で視聴離脱軽減の工夫もしています。観続けたくても途中離脱しなくてはいけない方のためにアンケートのQRコードを出しておくなど、視聴者の行動を鑑みた設計の画面デザインにしています。
(映像クォリティについては)元々Zoomはテレビ会議ツールであって動画配信ツールではないため、ウェビナーに向いているかというとそうでもない。そこでテレビ会議ツールではなく動画配信ツールを使ってきちんと設計する事によって、よりクォリティを高められるよね、と。我々は元々テレビなどのBtoCの制作を行ってきたので、その技術をウェビナーに持ってきたという形です。
あとは先程原田さんはおっしゃったように音質については非常に拘っています。僕自身も参加者として思うのが、音が悪いとすごくフラストレーションがたまるんですよね。音質と画質は重要なところかな、と思っています。
オンライン・オフラインハイブリッド型イベントへ移行に伴う主催者側の変化
−− 今後リアル&オンラインのハイブリッド型のイベントを行う際、会場にはどういう事が求められるとお考えでしょうか?
原田 ヤプリでは展示会出展をまた行い始めているところです。展示会でしかお会い出来ない方もいらしたり、リアルの方が商談の機会を取りやすいという事もあって、オフラインの現場は絶対に必要だと考えています。オンライン・オフラインのハイブリッド型にできれば、これまでは思いつかなかった展開も期待できるかなと思っています。
−− ハイブリッド型イベント、やる側はやっぱり大変な部分も多いのでしょうか。
堀野 ハイブリッドは大変ですね。それなりに広くてオペ卓がしっかり置けるであるとか、翻訳ブースがあるか、リアルでの要件は多いので、それを満たしつつオンラインもというのは結構難しい事でもあります。
ただ、これまではリアルのイベントを引きの画で撮ってただ配信するだけだったものを、この先はオンラインを主軸にどう魅せるかを考えて、(逆算で)リアル会場にはどのくらいお客さん入れられるか?という風にしていく流れが出てきているのが一つ大きな変化かな、と感じています。
PHASE オンラインとリアルの間 – 展示会の新形式 -出展者不在でも出来る事
SUPER PEMGUIN株式会社・竹村尚久さんがプロデュースする[ PHASE ]-フェーズ-は展示会を多様化させる指標として「出展フェーズ」という考え方を提唱している新たな出展形式だ。
会場に出展者が立たないという斬新な展示方式で、来場者は自由に気兼ねなく会場を観て歩くことができ、かつ出展者とコミュニケーションを取りたい場合も対応できるようになっている。
各ブースには出展者と会話する事ができるタブレット端末が用意されている。参加ゲストは端末を通じて出展者側に質問したり、商品説明を受けられるという仕組みだ。
「竹村さんのコメント」
リアルな展示会出展へ向けての情報集めをしているという参加者は「どうやったらお客様の興味を惹きつけてビジネスに繋げられるかという事のヒントになるものがあればと思い参加した」と語った。(株式会社東洋メディアリンクス 空間プロデュースチーム コーディネーター品川彩さん)
好立地ながらオンライン×リアルのハイブリッド型イベントにも対応可能な貸し会議室
MeetingSpace AP品川は品川駅 港南口より徒歩6分という好アクセス。会議室はA〜Hまで8つあり、A・Fは207㎡、B・Eは104㎡、C・Dは51㎡、G・Hは16㎡と大小様々な会議やイベントを開催できる。
また、同会場はオンライン配信イベントにも備えた充実の設備が魅力のひとつだ。
ARTERIA Networks 施設専有回線を利用し、安定したインターネット通信を確保。Zoom等とも接続可能な「マイク・プロジェクター・ビデオカメラ」など必要機材も揃っている。会場に常駐するスタッフがサポートしてくれるため、配信当日のトラブルにも対処可能なで安心だ。
個食形式での提供と見栄えを兼ね備えたケータリング
これまで立食パーティーといえばビュッフェ形式が中心だったケータリング。しかしコロナ禍において提供方法も進化している。
今回フード&ドリンク提供を行ったのは株式会社シービーサービス。料理はすべて個食スタイルになっており、料理テーブルの上は透明なフィルムでカバーされている。装飾はしっかり行いながらも、コロナウイルス感染拡大防止への工夫がみられた。
会場、イベント主催者、展示会の企画・運営、ケータリングとそれぞれの立ち位置で考える新様式を確認できる2日間となった本イベント。オンラインとリアルのハイブリット化はますます加速しそうだ。