知って得する!販促活動に使える補助金・助成金【第4回】
- 2015/10/30
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【第4回】
海外進出の第1歩! 海外の展示会出展に使える補助金
皆様こんにちは。城西コンサルタントグループの国際化支援をおこなっています神谷です。
今回は海外進出の第1歩である海外展示会出展について 1.その魅力、2.補助金の概要、3.海外出展ならではの注意点の3点についてお話をします。
1.海外の展示会出展の魅力は何か
これから海外進出を考える企業の方にとって海外展示会出展の魅力はたくさんあります。
(1)市場の声を直接聞ける → 自社商品の進出先でのポジションを確認する。
(2)ライバル企業を知る → 競合他社の情報を収集する。
(3)顧客を獲得する → 自社の顧客を獲得する。あるいは有望顧客の情報を獲得する。
(4)人脈を広げる → 顧客だけでなく販売代理店候補や自社の幹部候補と知り合う。
(5)将来の展望を見出す → 違う立場や考え方に触れることで将来像を修正できる。
国内展示会でも(1)~(5)は同じなのですが、初めていく海外の地では獲得できる情報の量も質も違っています。したがって周到に準備をすれば多くの企業にとって期待以上の成果を得ることができます。なぜならば日本企業に対する現地の信頼度は高いために、最初からビジネスを共にする相手として前向きに考えており、熱心な企業は日本語のホームページも事前に確認して接してきます。
海外で成功している企業の多くは展示会を海外進出の最初の一歩にしています。だから海外支援をする公的機関も民間コンサルタントも展示会出展支援に力を入れているのです。
事前視察して海外展示会の状況も見ておられる方もおられるようですが、専門家のアドバイスを受けずに出展すると準備不足を痛感することになると思います。周到な事前調査と現地でのアピール作戦をしっかりたてて最大の効果を得られるように進めていきましょう。
2.補助金(助成金)の概要
補助金の考え方や獲得の方法は国内のものと変わることはありません。公的機関や民間企業などがその施策や目的に合致したテーマに対して補助を行います。
(1)国や政府機関の支援
経済産業省、外務省を中心に各省庁やその政策支援機関
(JETRO,JICA、中小企業基盤整備機構など)の補助。
(2)都道府県レベルの支援
例えば東京都とその支援機関(東京都中小企業振興公社)など各所在地の都道府県による補助。
(3)区や市町村レベルの支援
例えば大田区や横浜市など市町村レベルの提供する補助。
(4)金融機関系の支援
融資に関係するものが多いが、直接資金支援も増えてきた。
(5)民間企業系の支援
商工会議所、財団、民間企業などに助成をする事業がある。
展示会出展だけではなく海外進出全体に対してもっとも多彩な支援を行っているのがJETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)さんです。そのジェトロさんの海外の展示会出展には大きくいって3つのタイプの支援があります。
1.海外展開のための海外見本市個別出展支援事業
助成対象経費は見本市主催者から直接請求されるスペース料や主催者が指定する基本装飾費用で、最大100万円の補助。(年1回申込期間 今年は4月15日締め切り)
2.ジェトロが主催・共催する展示会・商談会に参加
ジェトロでは1年間に世界各地約20か所でジャパンパビリオンを設け、そこに出展する中小企業を支援。支援内容はブースの料金を割引すること(30から70%程度で20万円~50万円に相当する)、手続きの簡素化、商談のサポートなどで有形無形の支援が受けられます。
3.相談窓口
計画段階から進出までの様々な段階で相談に応じ、ジェトロが有望ビジネスと判断すると、展示会出展だけでなくワンストップの進出支援が受けられます。
東京都や神奈川県などの都道府県レベルの補助金も充実しています。補助額は100万円以下のものが多いのですが、相談窓口事業など補助金と抱き合わせて支援するところが多いようです。東京都の「成長産業分野の海外展開支援事業」は条件付きとはいえ展示会出展に対して最大限度額300万円という大型の補助になっています(下記参照)。
表1 海外での展示会に利用できる補助金・助成金の事例 (平成27年)
名称 | 助成限度額 | 管轄 | 応募期限 | 補足 |
海外見本市個別出展支援事業 | 100万円 | ジェトロ | 4月15日 | 本文参照 |
成長産業分野の海外展開支援事業 | 300万円 | 東京都 | 10月6日 | 次世代2020対象 |
国内・海外展示会出展支援 | 50万円 | 品川区 | 11月30日 | |
横浜市海外展示商談会出展助成金 | 50万円 | 横浜市 | 12月25日 | |
JAPANブランド育成支援事業 | 2000万円 | 中小企業庁 | 4月3日 | 展示会以外も含む |
*上記は、情報を簡略化して掲載したものです。例外的事項等は割愛しています。
上記のようにいろいろな機関・企業に多くの補助事業があります。各事業を調べて自社にあった補助を獲得するのがいいのですが、中小企業にとっては調査する時間も人材もなくあてもないというのが普通です。はじめは都道府県や市町村の産業振興係にアドバイスを求めるのがいいかと思います。
3.海外展示会ならではの補助金獲得の注意点
展示会出展の進め方は国内のものと変わることはありません。多くの展示会では実施期間中に次年度の出展予約が可能になります。海外も国内も展示会出展は1年に及ぶプロジェクトということです。そして補助金獲得も1年計画で進めます。海外ならではの獲得の注意点を記します。
- 通常は補助金を獲得してからでないと展示会出展を決められない場合が多いのですが、展示会出展の事情から出店契約してからでも補助金獲得できる場合もあります(例えば東京都の成長産業分野の海外展開支援事業)。とにかくどんな補助金でも公募要領をよく確認してください。
- 業種・業態、進出先などが申請企業の成長戦略と整合が取れていることは重要です。この点は当然議論してあるはずですが、進出のシナリオをシンプルに表現すると審査に好影響を与えます。
- 進出候補の国から優遇されている業種・業態も補助金獲得に有利になります。(2)と似ているかもしれませんが、自社の事情だけでなく相手国の事情を理解して申請することも鍵となります。
次に補助金申請に関係する経費の使い方(書き方)に関する注意点を記しておきます。
- 出展の意思決定から展示会が始まるまでの準備期間
重要なのは潜在顧客への招待状の配布です。潜在的な顧客リストや販売代理店候補リストを作成して招待するので、調査会社を活用するのが効果的です。リスト作成にかかる費用は最初の出展時であれば20万円~100万円程度と考えればいいと思います。
次の注意点は通関手続きです。海外への輸送は港湾ストや事故の発生に加え、珍しい商品は税関で止まったりするリスクがあります。展示会にサンプルが届かないのは致命的問題です。輸出関係に強い運送会社さんの選定は重要です。早めに現地入りする事もお勧めします。
- 展示会開催期間中
多くのリスクが報告されています。「海外展示会の落とし穴」ということで知的財産に絡む話は筆頭です。今では気軽に無料でサンプルを配りまくったり、図面まで渡したりしてコピーしてくださいと言わんばかりの展示形態をとる企業さんはいないと思います。しかし他にもいろいろな手口でスパイされますので、展示方法と経費の使い方は工夫してください。
- 展示会出展後のフォロー
フォローは経費に含まれない場合がありますので公募要領を確認ください。展示会で集めた名刺をどう生かすのかも含めて作戦を立て事前に予算化しておくなどの工夫が必要です。
海外進出を考えている企業さんがなかなか一歩を踏み出せないのは、周辺に情報が少ないからとの回答が多いようです。しかし実際は日本でも相当多くの現地情報が安価に入手できます。それらの情報を整理して作戦を練ることが成功への近道です。紙面の関係で重要なポイントに絞りお話をしましたが、今回の記事が少しでも貴社の参考になればさいわいです。
城西コンサルタントグループ 国際化担当 神谷俊彦
神谷俊彦
中小企業診断士 一般社団法人城西コンサルタントグループ(JCG) 理事 副会長 前職の富士フイルム(株)にて、生産技術や海外マーケティングの業務。 米国・欧州に10年の海外駐在。 独立後海外進出支援アドバイザーとして、企業のコンサルタントや研修の講師として活動中。