7月10日、東京港区の泉ガーデンコンファレンスセンターで「Synergy Marketing × salesforce.com × Yahoo! JAPAN × clicktale デジタルマーケティングセミナー」が開催された。各企業のマーケティング担当者など約60人が受講し、マーケティングの各フェーズの専門家が戦略構築への提言や実務に役立つノウハウを語った。
第1部はシナジーマーケティングの佐々木翼氏が「BtoBリードジェネレーション概論」をテーマに講演。BtoBマーケターの視点に立ち、限られた人員・予算で結果を出すフレームワークと手法を紹介した。デマンドジェネレーションについて、「自社製品に関心を占める企業に属する人を見込み顧客として集めて情報提供や提案で購入につなげること」と定義づけ、そのために確度の高いセールスリードを多く獲得するリードジェネレーションの重要性を強調した。購買プロセスにおいてウェブの比重が高まっている近年の変化に対応するため、データマネジメントとコンテンツマネジメントに注力することを提案。コンテンツの計画設計について具体例を交えて説明した。
第2部はギャプライズの岩本庸佑氏が登壇。「サイトのPDCAサイクル環境をページ内解析ツールとA/Bテストツールで構築する方法」について語った。自社が提供するページ内解析ツール「ClickTale」とテストツールを組み合わせたPDCAサイクルを回し、ウェブを最適化する手法を紹介。マウスの動きが読者の視点とほぼ一致することを利用したヒートマップや、閲覧者の画面の動きを動画化して分析するなど、ウェブサイトの問題点をさぐるさまざまな手法をスクリーン上で再現した。
第3部はヤフー マーケティングソリューションカンパニービジネス開発本部ソリューション事業開発部マネージャーの鈴木航氏が「Yahoo! JAPANのマルチビックデータを活用したデータドリブンマーケティング」についてプレゼンテーションした。ビッグデータのマーケティング活用が劇的な成果をあげるに至っていない現状について、「量だけでなく質の高いデータが必要」とその理由を分析。ヤフーが展開するショッピングや路線案内などさまざまなサービスの利用状況や過去の検索履歴などのマルチビッグデータを活用して、ウェブサイト訪問者にとって最適なコンテンツを提供するYahoo! DMPの機能とマーケティングにおける活用方法を語った。
最後に登壇したセールスフォース・ドットコムマーケティング本部デジタルマーケティングシニア・マネージャーの北本大介氏は、顧客と企業を新しい形でつなぐをコンセプトに営業支援やマーケティング支援を行う自社のマーケティング施策について紹介。自社のマーケティング・営業活動を顧客向けにノウハウ提供をすることもサービスの一環となっている。同社では、自社製品を社員全員が使いその体験・体感を広めていくことが年間30%の成長と原動力だという。その背景にはデータ活用やツールテクノロジーだけでなく、それを活用するヒトのスキルが大切という考え方があった。また、他社のツールの活用や連携して、それぞれ得意分野のリソースを活用する方針を説明した。セールスフォース・ドットコムのサービスについては、認知から顧客満足度向上まで連携したメディアとし、老舗温泉旅館「陣屋」での導入実績を紹介し、さまざまな業界での活用できる同社の強みを解説した。
出席者にとって、マーケティングの各分野の専門家から直接ノウハウを聞く貴重な機会となっていた。