SLUSH ASIA を通して学んだこと
- 2016/3/6
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昨年、日本に初上陸したスタートアップイベ ント「SLUSH ASIA」。これまでのビジネス 系イベントにはない、ライブ感溢れる演出や運 営に多くの学生ボランティアの参加で、その 勢いあるイベントは話題を呼んだ。
「SLUSH ASIA」の日本初開催にいたる 経緯、また学生ボランティアとしての経験 について、CEO のAntti Sonninen さんと Volunteers Lead の東野万美さんが語った。
Antti さんは、SLUSH が生まれたフィンラ ンドの出身。学生に「起業」という選択肢が あることを伝える場として最初のSLUSH が はじまったのだと解説。2008 年に開催された SLUSH は300 人規模、海外からの参加者は 1名もおらず、投資も1つも行われなかった。 当時、才能ある若者は通信インフラ・ソフト開 発で有名なノキアに就職するようにアドバイス され、起業したいひとのためのサークルやネッ トワークはなかった。そんななか、2011 年、 ノキアの携帯部門がマイクロソフトに買収さ れたというニュースがフィンランド人に大きな ショックを与えたという。そこからSLUSH は 圧倒的な成長をはじめる。学生がイベントを 運営すること、シリコンバレーから投資家を集 めることが難しいとされていたが、みんなで一 緒に頑張ればと考え方を変えたことで、実際 に呼ぶことに成功、Facebook の投資家も集 まるようになり、一気に3,500 人の規模となった。2013 年にはフィンランド首相がパーカー で登壇するイベントになる。その後、ロシアの 首相、中国副首相、スウェーデン王子も参加 するようになり、昨年は15,000 人がヘルシン キに集まった。
Antti さんが2012 年に日本に来たとき、か つてのフィンランドと似たような状況にあった と感じた。フィンランドでも変わることができ たからこそ、日本でも若者が起業家を目指す 環境を築くことができると確信した。 SLUSH が目指すのは、誰でも挑戦できる 環境、世界を本気で変える環境を創るという こと。運営チームも若者主体、学生ボランティアで形成されている。
実際に学生ボランティアとして参加した東野さんは、同じ学生や日本人以外のボランティ アスタッフと仕事をしていくなかで「何か新し いことを吸収していきたいというエネルギーに あふれた人たちのなかで、いいコミュニティや ムーブメントのような広がりを実感することが できた」と話す。しかし、当初は初めての経験と、 ボランティアリーダーとしての役割に不安を感 じAntti さんに相談したのだという。そのとき、彼は「不安なのはわかる。でもやってみ ないと何もはじまらない」と、「虎穴に入らず んば虎児を得ず」という日本語の諺を教えた。 そう言ったのは、自分自身がイベントの経験が ほとんどなかったけれど、とりあえずやってみ ないとわからない、というマインドが大事だと 思っていたから、そう自信をもって言えたのだ そうだ。
また、ボランティアが重要な成功要因になっ ているSLUSH ASIA で、どうマネジメント しているのかという質問にAntti さんは「個々 にやりがいのあるミッションを共有すること」 と答える。 SLUSH ASIA が目指すことは、世界で活 躍する若き起業家が育つ環境をつくること。イ ベントはムーブメントを起こすツールであり、 イベントのためにイベントをするのではない。 イベントをやることによって、新しいムーブメ ントがはじまる、と力強いメッセージを送った。 今年は5月13 日から14 日、幕張メッセで 2日間にわたって開催される。ピッチコンテスト、スタートアップのブース展示も募集中だ。