[レポート]ポイントは世界初、日本発〜ジャパン・ドローン2016

ドローン163機を展示

DSC_01593月24日から26日までの3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で「ジャパン・ドローン2016(Japan Drone2016)」が開催された。

「ジャパン・ドローン」会場内にフライトショーケースエリアを設置した。日本では電波法の関係で2.4GHzというWi-Fiと同じ周波数帯しかいまは使えない。会場内での混線を防ぐためにドローンデモは同エリアのみで実施した

「ジャパン・ドローン」会場内にフライトショーケースエリアを設置。日本では電波法の関係で2.4GHzというWi-Fiと同じ周波数帯しかいまは使えない。会場内での混線を防ぐためにドローンデモは同エリアのみで実施した

「空における新たな産業革命」をテーマに開催された民間ドローン産業の国際展示会&国際コンファレンス「ジャパン・ドローン2016」は、単独としては日本初の展示会。第1回開催には、118社・団体(うち海外6カ国・地域から15社・団体)が出展、展示されたドローン機体総数は163機、フライトショーケースには25機が登場し、登録来場者数は8,023人だった。

DRONE MEDIA編集長岩崎氏同展に出展していた日本初のドローン専門メディアDRONE MEDIAの岩崎覚史氏によると、「日本のドローン市場は、海外にくらべ数年遅れの状況。ドローン機体に関しては、中国、アメリカ、フランスが先行している状態」と現状を分析する。

 

 

TERRA DRONE岩崎氏が注目していたのは、DJI Japanによる農業用ドローン実機で、民生用ドローンでシェア7割を占めると言われる中国メーカーのDJI。農業用ドローンは実機の展示やフライトショーケースでのデモフライトは日本初披露だった(トップ写真)。そのほか、遠隔会議システムなどを提供するブイキューブがロボット関連事業を展開しその一つとしてドローンへの取組みを展示した例やEVバイクを東南アジア向けに展開するテラモータースがドローン市場に参入しテラドローンとして出展している例など、新規参入組の動向にも着目する。「2015年は民生機のドローン元年と言われましたが、今年はサービス利用のドローン元年だと言われています。一般からドローンという言葉が去年騒がれて、ビジネス利用は今年という感じですね」(岩崎氏)。

DROGEN出展ブース会場には、個人用の空撮以外に、ビジネス利用として建築関係の点検・測量用、防災用、農業用などさまざまな用途に対応するドローンが展示された。海外勢では、アジアで中国に次いで利用の進む韓国からDROGENが出展するなど、海外では有名でも日本ではまだ知名度の低い企業も参加し、新型ドローンを積極的に売り込んでいた。

世界初、日本発をキーワードに

開催初日の管埜氏今回、「ジャパン・ドローン」の開催を企画・運営した(株)スペースメディアジャパン代表取締役の管埜寛之氏は、初開催の経緯について、2014年秋ごろから企画をスタートさせたが、その契機となったのが今回イベントの主催者となったJUIDA((一社)日本UAS産業振興協議会)が2014年7月に創設され、その第1回セミナーを聞いたときだという。「はじまったばかりで大きな産業界ではないけれど、発展性、可能性があるのではないかと感じた」と管埜氏は話す。

ジャパン・ドローン初開催までの間、日本では昨年メカトロニクス・エレクトロニクス関連の要素技術が集まるTECHNO-FRONTIER内で「国際ドローン展」が併催され、コンシューマ・エレクトロニクス分野では世界最大の見本市「CES」やIT・エレクトロニクス総合展の「CEATEC 」でもドローンが取り上げられるなど、一気にドローンに関する情報収集の場は広がりをみせる。

Peter Van Blyenburgh氏_UVS International President

基調講演に登壇したUVS International PresidentのPeter Van Blyenburgh氏

「ここはきちんと差別化をしよう、ポイントをつくらなければと思いました。それで、ポイントは『世界』だろうと。世界初、日本発というキーワードで伝えてきましたが、日本からも発信するし、世界からも発信する場になること」と、管埜氏は「ジャパン・ドローン」の立ち位置をこう定め、アメリカ、中国、シンガポールなどで積極的にプロモーションを展開、基調講演で登壇したUVS協会についてはアメリカまで行って直接説得したという。

国際展示会&国際コンファレンスとうたっているように、基調講演のほか、シリコンバレー商業ドローン最前線などの講演があり、海外からの最新情報の発信の場になった。

ドローン特区・千葉市での開催

会場となった千葉市は、2015年12月15日に地域を絞って規制緩和する国家戦略特区の一つに指定され、人口集中地域などで小型無人機「ドローン」の飛行を禁止する航空法の規制を緩和しドローンを活用した薬や生活必需品の宅配サービスができるようにする、としている。

ドローン特区での「ジャパン・ドローン」の開催はじつは偶然だったというが、こうした行政の動きが後押しとなり、初開催ながら千葉市が後援につき、特別講演でも千葉市長の熊谷俊人氏が登場、仙北市長の門脇光浩氏と内閣府地方創生推進室次長の藤原豊氏とともに「開発用テストフィールドと国家戦略特区」と題し、行政の取組みについて展開した。

千葉市の小学校には「ジャパン・ドローン」の案内を全校にするとともに、千葉市内小学生向け「春休み企画!ドローンスクール・体験会」を最終日に開催。ドローンの操縦ができる内容で、応募すぐに50名の定員はいっぱいとなった。

管埜氏は、これまでさまざまな産業分野で展示会を立ち上げてきた経歴をもつが、今回の「ジャパン・ドローン」について、「どうなっていくかは未知数。個人的には、20年前に日本にもってきたインターネットの展示会『インターロップ』のときのモーメンタム、勢いを感じる。アメリカではさまざまなドローンベンチャーも出ており、中国にはメーカーだけで400社いると言われ、インターネット創生期のような状況。今回、日本での初開催では、まだ一握りで、まだまだ拡大の余地があると思っています」と話す。

今後はドローンを使って何ができるのか、インターネットと合わせてどう使えるのかが問われ、産業界にどのようなイノベーションが起こるのか期待される。

次回は、2017年3月23日から25日、幕張メッセでの開催を予定している。

 

 

「ドローンレース in Japan Drone 2016」
「ジャパン・ドローン2016」では、ドローンレースも行われた(3/26@幕張メッセ展示ホール5のフライトショーケース内)

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