セミナー・コンファレンス施設/イベントホール最前線 その1〜製薬業界 ファイザー
- 2016/4/18
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インタラクティブ・体験・高付加価値 セミナー・コンファレンス施設/イベントホール最前線
メール・ウェブ・SNS、オンラインのコミュニケーションツールがどんどん便利になっているのに、時間・コスト・手間をかけて、1 つの場所に多くの人が集まるのはなぜなんだろう。製薬、IT、アパレル、人事・総務のイベント担当者に、リアルの意味、イベントのトレンド、会場に求めること、会場の選び方などを聞いてみた。
その1〜製薬業界
ファイザー株式会社
畑中 朋継さん / 玉置 千津子さん
医薬業界のイベントといえば、製薬企業が企画・主催する講演会や勉強会、各医学会が主催する学会へ出展する展示ブースなどスタイルはさまざまだが、「参加対象者である医師や看護師などの医療従事者に適切な医薬情報を伝え、患者に貢献することが共通する使命です」とイベント開催の目的について、業界最大手のファイザー株式会社畑中朋継さんはこう説明する。
同社では、カスタマーエンゲージメント(ミーティング)グループという専門部門(以下CE)で、年間約100件のイベントを担当。畑中さんと同様にCEを担当する玉置さんは、医薬業界のイベント事情について「公的医療保険からの償還を収入の源泉としている業界であるため、法令をはじめとして業界の自主規制ほか様々なルールに則って講演会や展示を企画する必要があります。それに加え、外資系なのでグローバルルールにも準拠しています」と、前提条件が他業界とは多少異なり「イベントとしてはもっとも地味な業界かもしれない」と解説する。具体的には、講演会後の情報交換会での食事提供は立食、宿泊ホテルのランクはいくつまで、講演会でアンケート謝礼を出すのにもいくつかの制限があるなど、透明性を担保するルールがあり、コンプライアンスファーストが求められる業界ならではの文化がある。
とはいえ、情報分析力の高い医師の参加満足度を高めるため、「制約のなかでいかに創意工夫を入れる」かが課題と語る。同社は製薬業界の最大手企業としてFirst moverの役割を担っている。
最近では、3Dの360度パノラマ映像を活用して製薬工場の見学会をするなどの視覚化、話を聴くだけではなくタブレット端末を全員に配布しリアルタイムな反応を生かすインタラクティブ性を重視する傾向がある。その背景にはインターネットシンポジウムの増加もある。「同社でも2015年は前年比30〜40%増でした。これは業界全体の傾向でもあります」(畑中さん)
バーチャルでは、移動がないぶん忙しい医師の参加へのハードルは下がるが、参加満足度はやはりライブのほうが高い。
「ライブとバーチャルの使い分けが喫緊の課題ですが、それぞれの強みを活かし、ライブではコミュニケーションの創出を重視した内容にしたり、ツールを使って参加感を強めたりとイノベーティブなものの取り込みには積極的です」(畑中さん)
常に新しいものがないかを貪欲に情報収集している。
<会場選択の課題>
・ホテルはインバウンドの増加等で、特に宿泊が確保できない
・カンファレンス施設を使用することにも積極的になってきたが、宿泊面、ホスピタリティ面での充実が必要