[展示会×マーケツール]出展後のホットリストを時短でつくる

企業の販促を目的とするイベント主催や展示会出展で、担当者を悩ます課題として、“集客”に並ぶ課題が “成約”だ。集客数をクリアしたとしても、結果として成約に結びつかなければそのイベントや出展が評価されることはない。

特に展示会出展では、マーケティング担当者がブース来訪者の名刺をまとめ、営業担当者に渡すという分業のケースもあるため、ノベルティなどで工夫をして数をふやしたとしても、現場の営業担当者からの評価は低いなど、展示会評価に温度差がでることも多い。

こうした出展の実態は、担当者だけでなく、展示会の主催者にとっても大きな課題だった。

昨年、展示会の効果を最大限に引き上げようと試みられたのが、展示会を主催する日経BPとマーケティングツールを提供するイノベーションの「出展者への『リストファインダー』30日無償提供」トライアルだ。

日経BP社が主催する「Human Capital 2015」「ITpro EXPO 2015」、2016年3月に東京で開催された「Cloud Days 2016」の3展で実施し、出展・協賛企業限定で「リストファインダー」を30日間限定で初期費用、月額費用を無料提供した。

「リストファインダー」は、展示会で獲得した名刺をもとにニーズのある見込み顧客を判別することができるマーケティングツール(図参照)。いわゆるマーケティングオートメーション(MA)が海外から続々と日本市場に参入しはじめた2014年よりも前の2010年にローンチし、当初はIPアドレスを基にサイト閲覧企業を解析するツールであったが、ここ2~3年で個人解析やメール配信機能など、国産MAベンダーとして日本企業に合わせてリニューアルを行った。

営業リストを作成するフロー

営業リストを作成するフロー

もともと日本企業のマーケティング支援会社として15年前に創業した同社。「日本は米国と違ってマーケティング専門組織をもつことが少なく、そのためMAツールを運用できる専任担当者の確保もむずかしいんです。こうした実情から日本で定着するMAツールを考え、マーケティング担当者ではなく、マーケティングも兼任する営業部長に向けて必要最低限の機能を装備したシンプルなMAがリストファインダーです」と山北正晃さん(セールスクラウドユニット長)は説明する。導入コストが月額3万円からという価格設定や専任担当者の人件費が必要ない点など、他のMAよりも初期費用が手頃であることが受け入れられ、これまでに延べ600社が導入している

日経BP主催の展示会出展者へのトライアルでは、「Cloud Days2016」の場合、約100社のうち30社がリストファインダーの無償提供を受け導入。採用した担当者から「出展後、時短でホットリストをつくれた」、「営業の優先順位をつけることができたのがよかった」、「ブース来訪者にメールマガジンを送り続けた結果、テレアポ成約率が向上した」などの効果を実感する声があがっているという。

一方で、日経BPとイノベーションの双方で今後の課題としているのが、獲得名刺のデータ化とメールマガジンなどのコンテンツ作成といったツールを活用する前後のフォロー体制だ。前述の無償導入した30社のうち、活用に至らなかったケースもあり、それは、名刺のテキスト入力やメール文章の作成がネックになっていたことがわかった。

「MAベンダーがふえ、市場でのMAの認知度も上がってきて環境的にはサービスへの理解は進んできました。特にIT業界の展示会では反応がよかったですね。課題は活用支援とIT以外の業界への推進です」(山北さん)

メールマガジンの担当者であれば、開封率やクリック数などを定点観測して、増減の結果に件名や内容を調整できるけれど、年に1回というスパンの展示会の出展やイベントの場合はどうしたらいいのかわからない、まずは成約までのラインを見える化したいという方や出展効果を実感してほしいと考える展示会主催者は、「展示会」×「マーケティングツール」のコンボからはじめてみてはどうだろうか。Webマーケティングを実施しているけど、リアルと連携していない企業も多い。マーケティング担当者と営業担当者が揃って「あの展示会はA評価」という会話ができるようになるかもしれない。イノベーションでは4月1日からリストファインダーの30日限定ですべての機能が利用できる無料トライアルを開始し、サポートするそう。

 

月刊イベントマーケティング10号「特集:集客と成約に効くコンボ」より)

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