ブースにおける企業・商品紹介DVDの放映が効果的
5月24日に「Gift Show in 上海 中国進出サポートスタディプログラム」が開催された。このプログラムは「Gift Show in 上海」を主催するビジネスガイド社が企画するもので、7月21日までの日程で全6回にわたり、出展予定企業や出展を検討する企業に向け、安心かつ安全に中国国内での販路を開拓するためのポイントを解説するものだ。
第1回目はビジネスガイド社代表取締役 芳賀信享氏が、上海の展示会出展で成功するためのポイントなどについてプレゼンテーションを行った。
冒頭に芳賀氏は「上海について治安面で心配する人もいるが、過度の心配は無用」と述べ、安心できる都市であることを強調。また、今年6月に開業予定の上海ディズニーランドを特別訪問したときの施設内の風景や、多くの観光客で賑わう明代の庭園、豫園(よえん)などの様子を、今年訪れたときに撮影した写真を見せながら話し、アフターコンベンションの楽しみ方も豊富な街であることを紹介した。
展示会出展でまず心掛けることは、出展する展示会のテーマをよく把握し、それに沿った商品を展示すること。これは上海の展示会に限ったことではないが、出展する展示会のテーマを十分に理解することは、成功への第一歩だ。
ブースでは、自社の紹介や商品の特長を伝えるDVD映像を流すのが効果的だ。商品の使い方や開発ストーリーなどを盛り込んだ映像は、日本人同様、中国人にとってもインパクトが大きい。できれば中国語字幕を入れた方が効果は当然高くなる。芳賀氏は「DVDの映像が勝手に営業してくれる」と話す。
展示会に来場するバイヤーは、ブースで現金を支払い商品の買い付けをする。中国での支払いは先払いが当たり前だ。日本のように納品後に回収するのではない。
展示会での使用言語だが、英語や日本語を話せる来場者は非常に少なく、中国語を使うことになる。そのため通訳を依頼することになるが、通訳の力量は商談において極めて重要だ。学生のアルバイトでは商談の通訳は力不足。中国人の取引先や現地工場の知り合いで貿易の知識がある人に依頼するのがよい。
越境ECについても、最新事情を解説した。中国向け越境ECは、今年4月に中国の税関制度が変更され、納税率が変わった。
具体的には、1回の取引限度額が1000元(約1万7000円)から2000元(約3万4000円)に引き上げられた。税率については、50元以下の低価格品に適用されていた免税が撤廃。それとともに増値税(日本の消費税に相当)と消費税(特定の嗜好品や贅沢品に課税される税金)が3割減額された。
その結果、例えばベビーグッズや食品にかかる税率は、50元以下は11.9%の増加、50元以上は1.9%の増加となった。一方、100元以上の化粧品は17.1%減少するなど、商品や価格によって増税となったもの、減税となったもの両方がある。
今回の芳賀氏のプレゼンテーションは、具体的な出展ポイントや最新の税制など、企業にとっては極めて実際的な内容であった。セミナー会場には上海の展示会に出展を検討している企業の担当者らが参加し、芳賀氏の話に聞き入っていた。
「Gift Show in 上海 中国進出サポートスタディプログラム」では次回以降も、日中ビジネスの専門家によるセミナーが予定されている。
(取材・文=蓬田 修一)