6月9日、「『創造力は奪えない』BRIDGE KUMAMOTOみんなで企画会議~東京キックオフDAY」が開催され、約120名が参加した。
同イベントは、4月14日に発生した熊本地震に伴い、現地で震災復興活動を行う一般社団法人チーム熊本が主催。産業支援活動として、熊本県内のクリエイターと熊本県内外の企業や団体をマッチングし、地元熊本から復興プランを共創する取り組み「BRIDGE KUMAMOTO(ブリッジクマモト)」のキックオフとして東京で行なわれたもの。
冒頭、熊本の状況とBRIDGE KUMAMOTOについて、CHIKAKEN代表 三城賢士さん、一般社団法人 チーム熊本代表理事でアートディレクターの佐藤かつあきさん、ドローンで熊本のようすを撮影している稲田悠樹さんが解説した。熊本地震から約7週間が経過し、被害が大きかった地域では、いまだに1万人以上が避難生活を続けており、ボランティアの数は直後にくらべ減っている状況。BRIDGE KUMAMOTOは「どんな災害がおきたって、創造力は奪えない。熊本の自然、産業を、クリエイティブの力で呼び戻したい」と、外部だけの支援に頼らない、自立した復興プランを目指している。
その後、セッション1として、東日本大震災以後、災害時におけるテクノロジー活用について取材してきた林信行さんと、熊本市生まれで2013年から東京都地域をクリエイティブで結ぶ「100人プロジェクト」の活動をしている池田美樹さんが登壇。林さんは当初熊本入りすることにどう自分が貢献できるか葛藤したが、フォロアーに発信することでつながることがあると現地に行くことを決めたこと、池田さんは熊本地震の直前に阿蘇大橋を渡り、昔は赤かったという会話を若い世代としていた直後だっただけに、崩落のニュースにはショックを受けたと心境を語るとともに、「レジリエンスといって、悲しみのあとには必ず大きな成長がある」とメッセージを送った。
セッション2では、医師で現在熊本県と崇城大学による起業家育成プロジェクトのスーパーバイザーを務める杉本真樹さんと、執筆家でアーティストインキュベーターで起業家とクリエイター育成を行っている四角大輔さんが登壇し、自身の熊本での活動を紹介したほか、これからスタートするBRIDGE KUMAMOTOの企画会議において、「課題は?、解決法は?、対象者は?、ゴールは?、特徴は?、メリットは?、1st stepは?」といった考えるうえでのポイントを示し、有意義な会議となるよう促した。
その後、全員参加のみんなでKUMAMOTO企画会議では、受付であらかじめ自己申請した右脳バッチと左脳バッチを頼りに、グループに分かれて会議が行われ、グループごとに発表を行った。企画会議の議題としては、「現在でている課題への解決策」「現在進行中のプロジェクトへのadd on策」「新たなプロジェクト提案」と自由。発表では、「熊本城へのプロジェクションマッピング」や「365日イベントカレンダー」、「熊本クラウド県民」、「熊本定食」などさまざまなアイデアが生まれた。今後は、フェイスブックの公開グループ上でアイデアのさらなる構築やコミュニティをつくり、共有していく。
▽BRIDGE KUMAMOTO進行中のプロジェクト
・阿蘇神社復興支援プロジェクト(ビデオ)
・阿蘇観光支援プロジェクト=ぬいぐるみの旅行代理店「ウナギトラベル」
・バイオディーゼル燃料のPR=全国の家庭から廃油を集める
・ヴォルターズ熊本復興支援=資金集め、PRなど
・チャリティコンサート「Music For Kumamoto」のデザイン制作
・新しい熊本の観光を紹介するベンチャー「新熊本観光」
・モダニズム建築の傑作「花畑別館」のプロカメラマンによるアーカイブ化
・県産品のBRIDGE KUMAMOTOリデザイン
東京での開催だったが、熊本とスカイプで中継をつなぎ、熊本阿蘇神社の中島昌彦さん、阿蘇の動物園カドリー・ドミニオンの担当者と現状や企画会議の時間を共有するなど、終始、双方のつながりを感じながら会は進行された。
同イベントは5月30日に開催を決め、6月1日に告知、11日間で立ち上げられた。会場を無償提供した森ビル、参加者へお茶を提供した伊藤園、チケットサイトのサポートをしたイベントレジスト、プレスリリースを無償配信したPR TIMES、熊本の現状を伝える新聞100部を提供した熊本日日新聞など、熊本への思いがつながり開催にいたったもの。
今後、BRIDGE KUMAMOTO特設サイトでも、進行プロジェクトや熊本の状況をアップデートしていく予定だ。
(トップ写真撮影=集合写真家・武市 真拓さん)
▽一般社団法人チーム熊本の活動実績
一般社団法人チーム熊本では、地震発生直後からボランティアチームを独自に組織し、現地から生活支援活動として、以下の活動を行っている。
・約1100tの物資受け入れ(独自ルート・支援先から)
・合計30箇所の配送・引き渡し拠点(明光義塾15,東光石油11,西区ベース1箇所,Boy健軍店1,崇城大学ボランティアビレッジ1箇所)
・ 約3000件のニーズヒアリング(すべての情報をデータベース化)
・約1900回の物資提供(個人・団体・避難所等)
・約1200人の県内外ボランティア受け入れ
・約500人の宿泊先の提供(自主運営のテント村:崇城大学ボランティアビレッジにて)
・上記データベースを再編し行政・熊本県・熊本市・Yahoo等へ提供
・熊本市と物資の共有により避難所支援の効率化をはかる