テクノロジーの進化に対して 人と光と街のあるべき姿を考える

 

F-1東京国際フォーラム、六本木ヒルズ、東京駅丸の内駅舎などの照明計画をてがけた照明デザイナーの面手薫氏は、自身が設立したLight Planners Associates(LPA)の25周年を記念して4都市巡回展「Nightscape 2050」を実施。昨年8月からベルリン、シンガポール、香港で展示を行い、巡回最終地となる東京は5月14日から6月10日まで、東京都・中央区のTEMPORARY COMTEMPORARYで開催されている。

巡回展では、2050年には光と人と街のあるべき姿はどうなっているかというテーマをもとにさまざまな提案がされた。東京の照明・夜景への提案を行ったLPAのデザイン担当者は東京の魅力を、それぞれの街に個性があるものの、バラバラでなく洗練された美しさと分析。異なる街の個性にマッチするのは公共照明ではなく、住む人が街に気遣いするような光の作法が求められるとし、オフィス街、住宅地、商業施設、繁華街などでの照明を提案。東京の2050年の夜景を洗練された混沌から生まれる光の万華鏡と表現した。

東京展オープン前夜には、面出氏に加えてデザイナーの原研哉氏、建築史家の五十嵐太郎氏による3人のトークショーが行われた。そのなかで面出氏は、LED光源やデジタル調光制御技術など、テクノロジーの進化に追随するだけでなく、光と街と人がどのように共存するか自分たちの意思をもつことが重要とし、今回の巡回展は多くの人が光について議論するきっかけとなってほしいと、語った。

インバウンド資源となる夜景やイベントへ集客するイルミネーションは、それぞれの都市の魅力を取り込んだ設計が求められる。デザイナーだけでなく生活する人々が隣人や街を想う光の作法を、来訪者は街の景色・文化として持ち帰るのだということを教えてくれた。

(月刊イベントマーケティング11号「特集:リアル×映像・照明の体験」より)

 

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