活況VR市場 ー「Japan VR Summit(JVRS)」

D-1「Japan VR Summit(JVRS)」が5月に初開催された。VR元年と言われる2016年、世界的なVRへの期待の高まりを背景に、事前チケット(通常チケット3万円)は完売、当日は約500名が参加し、メイン会場は立ち見、ホワイエで展開したVR体験ブースには長蛇の列ができるなど、VR業界の活況を体感できるイベントとなった。

Session1の「VRがもたらす大革命」では、ハコスコ代表の藤井直敬氏をモデレーターに、Oculusの池田輝和氏、HTC Corporationのレイモンド・パオ氏、ソニー・インタラクティブエンタテイメントLLC(以下ソニー)の吉田修平氏といった最近のVRデバイス3メーカーのキーパーソンが登場(写真)。VR活用ではゲームが先行しているが、Oculusの池田氏はOculusの親会社でもあるFacebookがF8(Facebook Developer Conference)で発表したように、“VR空間上でのコミュニケーション”にも力を入れていく可能性について触れ、VR空間で物に触ったり、手を使ったアクションができるデバイスOculus Touch(下半期発売予定)を紹介。また、HTCのパオ氏も、ゲーム以外のVRのポテンシャルは大きいとし、エンターテインメントではスポーツ観戦で好きなアングル、好きな選手をみることができたり、デザイン分野では車の100以上あるアクセサリーをVR上で試すことができたりと、さまざまな分野での活用に言及。ソニーの吉田氏は、VRはひとりでも楽しいけれど、閉じこもって暗い印象を与えたくないとし、ヘッドセットを持っているひとと、持っていないひとが同時に一緒に楽しめる“ソーシャルスクリーンミラーリングモード”と“ソーシャルスクリーンセパレットモード”といった2種類の画面表示モードをプレイステーションVRには搭載しているとし、何よりもまずは体験してみてほしいと伝えた。

そのほか、JVRSでは広がるVR領域とし、リモートコミュニケーション、Live/Show、トレーニング、ファッション、美術館・博物館、観光、医療、不動産などが挙げられている。

イベント周辺では、スペース内見のVR閲覧などでVR活用がされてきているが、コンファレンスへのリモート参加、スポーツイベントのVR観戦、展示物の追加体験など、時間と空間を越え、物理的制限を壊す、新たな体験コンテンツづくりが生まれそうだ。

(月刊イベントマーケティング11号「特集:リアル×映像・照明の体験」より)

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