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[BACKSTAGE Report]Session8「海外テクノロジーイベントの最新トレンドを見通す」
- 2016/11/1
- BACKSTAGE Report
8月30日に開催されたイベンターのための夏フェスBACKSTAGEでは、「イノベーション」が大きなテーマとなったが、今回紹介するSession8とSession9「地域から日本とアジア、世界を変える為にイベントが出来ること」を合わせて読むことで、日本にも海外でトレンドとなっているテクノロジーイベントのような、未来のイノベーションが生まれ育つ場としての地域イベントが、近いうちに誕生することを予感させる。(「月刊イベントマーケティング」10月31日発行号掲載)
Session8「海外テクノロジーイベントの最新トレンドを見通す」
[登壇者]
電通 CDC部長 事業開発ディレクター 中嶋文彦さん
THE BRIDGE共同創業者/ブロガー 池田将さん
未来予報 Co-Founder/プロジェクトデザイナー曽我浩太郎さん
未来予報 Co-Founder/コンテンツストラテジスト宮川麻衣子さん
音楽やインタラクティブが充実してきたSXSW
日本からの参加者は毎年1.5倍のペースで増加
イベンターにとって今、注目すべきトピックのひとつとして、世界各地で開催されている様々なスタートアップ企業イベントを挙げることができる。
このセッションでは、電通 CDC部長 事業開発ディレクター 中嶋文彦さんがモデレーターとなり、海外のイベント事情に精通したTHE BRIDGE共同創業者/ブロガー 池田将さん、未来予報 Co-Founder/プロジェクトデザイナーの曽我浩太郎さんと同社Co-Founder/コンテンツストラテジストの宮川麻衣子さんがパネリストとして登壇し、海外のスタートアップ企業イベントの最新動向を紹介した。
電通 CDC部長 事業開発ディレクター 中嶋文彦さん冒頭、中嶋さんが北米において開催されている有力イベントを独自にマッピングした資料を披露(写真参照)。そこには、ベンチャー向け/大企業向け、テーマ特化型/総合型の2軸で分類された20以上のイベントがマッピングされており、中嶋さんは「まさにイベント花盛りの状況」とコメントした。
中嶋さんが北米で開催されている有力イベントを独自にマッピングした資料
その後、宮川さんと曽我さんからアメリカ・テキサス州オースチンで毎年3月に開催されているクリエイティブビジネスのイベント「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」の最新動向について報告があった。ふたりが所属する未来予報はSXSW日本事務局オフィシャルパートナーとして、日本での広報活動などを行っている。
未来予報 Co-Founder/コンテンツストラテジスト宮川麻衣子さん宮川さんは「SXSWはSession(勉強会)、Demo(トレードショー)、Pitch(コンペ)、Meet-up Party(お見合い)の4形態で構成されているイベント。10日間の会期中、延べ約10万人が参加し、経済波及効果は約380億円に達する、世界最大のクリエイティブビジネスフェスティバル」と紹介。「会場でたまたま会った人が有名な開発者だったりして、人との出会いがSXSWの魅力」と語った。
未来予報 Co-Founder/プロジェクトデザイナー曽我浩太郎さん
日本からの参加者も毎年1.5倍のペースで伸びており、今年は765人が参加。曽我さんは「最近は広告関連やマーケターの参加者も増えてきた。カンファレンスプログラムなどを通じて“未来を見たい”という気持ちがあるのだと思う」と話した。
欧州イベントがアジアに進出
特定分野に特化したイベントが増加傾向
THE BRIDGE共同創業者/ブロガー 池田将さん続いて、テクノロジー系ニュースを配信するブログメディア「THE BRIDGE」の池田さんが、世界のスタートアップ企業イベントについて概況を紹介した。
アジア地域では、ソウルの「be GLOBAL SEOUL」、シンガポールの「TECHINASIA SINGAPORE」などをピックアップ。どのイベントも2000~3000人の参加者を集めているという。池田さんはアジア地域でスタートアップ企業イベントが活況を呈している理由について、東南アジアは渋谷のようなスタートアップ企業の集積エリアが特にないので、イベントがないと人が集まりにくい状況にあるのではないかと分析した。
ほかにも中国・アモイの「ASIA BEAT」や北京の「GMIC(グローバル・モバイル・インターネット・カンファレンス)」、台湾の「IDEAS SHOW」などのイベントを紹介した。
「GMICは3日間の会期中だけでなく、会期前後に会場近くで参加者が集まってパーティを開いたりしていて大変に盛り上がっている」と話す。
ヨーロッパは、イギリス・ロンドンの「INNOVATE」やスペイン・バルセロナの「4YFN」(4 Years From Now=4年後に世界に大きな変化を起こすスタートアップ企業という意味)を注目イベントとして挙げた。
近年の傾向として、ヨーロッパのイベントがアジアに進出していることと、フィンテック(金融テクノロジー)に特化した「FINNOVASIA」などバーティカル(分野)別のイベントが増えていることを指摘した。
SXSWの最新動向について、宮川さんは「もともとテクノロジー関連が充実していたが、去年くらいから音楽やインタラクティブを取り込んだコンテンツが増え、盛り上がりをみせている」、曽我さんは「語られているテーマがモノやサービスから概念になってきている。今後、コンテンツとテクノロジーがどう絡んでいくのか楽しみだ」と語った。
池田さんは「イベントの隙間を埋める何かが大事になるのではないか。例えば、イベント会場に来ている人同士で連絡が取り合えるアプリの活用などが考えられる」と、今後のイベント展開における展望を示した。
これまで、海外のスタートアップ企業イベントのトレンドを、大きな視点から把握する機会はなかなかなかった。最新のイベントトレンドを世界規模で俯瞰した今回のセッションは、聴講者にとって今後のマーケティング活動に大きなヒントと刺激を与えたに違いない。
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Session9「地域から日本とアジア、世界を変える為にイベントが出来ること」
蓬田修一
株式会社M&Cメディア・アンド・コミュニケーション代表取締役。編集者・ライターとして、これまで約2000人の経営者や企業のマーケティング担当者らに取材。マーケティング専門誌『販促会議』などに執筆多数。書籍制作・記事執筆のほか、企業のマーケティング支援も行う。美術とマーケティングをテーマにしたウェブ媒体を運営し、美術展や文化財の取材に年100回足を運ぶ。高校国語の漢文教材も制作。全国漢文教育学会会員。趣味は音楽。オヤジロックバンドで、作曲、ギター、キーボード担当。妻とボサノバユニットを組んで演奏。