イベント公式アプリ× AR
今年の「東京ゲームショウ(TGS)」では、公式アプリにARカメラ機能が搭載された。会場内の4箇所に設置されたフォトスポットで、TGS のポスターに描かれているキャラクターの3D版と一緒に写真が撮れるという試み。新しもの好きの本紙編集部が早速体験しに行ってみた。
2ショット写真ではないが、実際のARカメラを通してみるキャラクターは、等身大サイズ で想像よりも大きく、CG とはいえ立体的でリアルだったことに驚き、正面や側面など、ARのキャラクターが現れるギリギリの位置を探ってさまざまな角度から何枚も撮ってしまった。エア撮影会のようにもみえる行動は、「誰がいるんだろう?」と端から見たらきっと不思議だったに違いない。
公式アプリ開発元のブレイブソフト菅澤英司代表によると、ARカメラを搭載したのは「アプリならではの『おっ!』という驚きや新鮮味があって、イベントに来ないと体験できないプレミア感や楽しさを盛り込むため。SNSのシェアを誘発してイベントの認知を上げるという狙いもあった」とのこと。ARカメラの効果もあってか、アプリのダウンロード数は前年に比べて大幅に伸びたという。
「イベントとARの親和性はかなり高いと思っています」と菅澤さん。「例えば、3D キャラクターに動きをつけて誘導役にしたり、あるいは出展者のゲームキャラクターを各ブースに出現させる仕組みをつくったりして、AR キャラ集めを誘発した新型スタンプラリー方式のブース回遊性づくりなど、可能性は色々あります」。
イベントでのアプリ導入の効用
BtoB イベントでも公式アプリの導入は進んでいるが、まだ開発コストと効果に対して疑問視する向きもある。イベント向けアプリ開発プラットフォームEventosを開発した菅澤さんに、イベントとアプリの相性について聞くと、「アプリはこれまで感覚値で語られていたことをデータ化する分析ツールにもなる」という。
Web サイトでは訪問者の情報は直帰率やリピーター率、ページの回遊分析などが行えるのに対し、イベントでの参加者の情報は、当日の来場者数、事前登録時に収集する職種・役職などの属性情報などにとどまっている。菅澤さんは、「スマホ普及率が60%を超えたいま、アプリはビーコンと連動して経路ログや 滞留時間を計測したり、行動情報を知ることができるツールにもなります。会場の動線設計や スタッフの配置など、次のイベント運営の改善 に活かすために分析ツールとして提案することも多くなりました」と話す。
AR で動線をつくりアプリで行動解析する時代になるのかもしれない。