イベント学会は11月12・13日の2日間、上智大学で第19回研究大会を開催した。
開会式ではイベント学会会長の堺屋太一氏が挨拶。「日本は、安全・安心、清潔、時間に正確と世界に誇れることは多いが、楽しさという点では課題が多い。スポーツにしても成績を競うだけではなく、スポーツを楽しむこともその大切な要素。イベント学会の会員それぞれが牽引して日本を楽しさ先進国にしよう」と力強く語った。
会場を提供した上智学院理事長の高祖敏明氏は、「オリンピックとパラリンピックは、各国が憎しみや武器を置いて、目標を目指して技を競いあう場。上智が掲げている共生社会や、他者のために生きる人を示しているのではないか。ラグビW杯やマスターズなどメガイベントを通して、大学ができることを考えており、国際パラリンピック委員会会長のフィリップ・クレイヴァン氏にも登壇していただいたり、学生への講座、教職協働プロジェクトなども行っている。」と上智の取組みを紹介した。
基調講演はスポーツ庁の髙橋道和次長が登壇。国際メガスポーツイベントに期待するレガシー〜今後のスポーツ施策展開の視点から〜をテーマに、スポーツ庁の取組みを紹介。2011年のスポーツ基本法により、これまで国が主導するものでないというスポーツの扱いを、健康長寿社会、地域活性化などを目的に超党派の議員連盟の働きかけで成立されたこと。五輪東京大会開催決定後にスポーツ庁創設に動き出し、現在ではオリンピック金メダリスト鈴木大地長官のもと、5課2参事官、121人の各省庁やスポーツ関連の組織を集約して設立。平成28年度は324億円の予算で活動すること。スポーツ庁の4つのミッションである、健康増進、国際競技力の向上、国際的地位の向上、地域活性化について説明した。文化庁、観光庁と3庁合同で、スポーツ文化ツーリスムアワード2016も開催するほか、2021年の世界水泳選手権は鈴木大地長官自らプレゼンするなど積極的に活動している。スポーツ庁は国際メガスポーツイベントに期待する5つのレガシーとして、スポーツの振興、社会資本(インフラ)の蓄積、国際交流・国際貢献、地方創生、経済活性化をあげた。
シンポジウムでは、「ラグビーW杯、オリ・パラ、Wマスターズと地域創生〜国際メガスポーツイベントによる共生社会の構築〜」をテーマに、ラグビーワールドカップ2019組織委員会事務総長特別補佐の徳増浩司氏、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長の布村幸彦氏、関西ワールドマスターズ2021組織委員会事務局長の大西孝氏が登壇。モデレーターはイベント学会理事で上智大学教授の師岡文男氏が努めた。
2日目の特別フォーラムは、「Sport x Eventology」をテーマに、チームラボの猪子寿之代表、パワープレイの武井克明、ワコールアートセンターの松田朋春氏がパネリストとして、コミュニケーション・デザイニング研究所の福井昌平代表取締役がモデレーターは務めた。3人のパネリストがそれぞれの取組みを紹介したあと、2020年前後にイベントのあり方はどうなっているか、など各界のトップランナーならではの、見解を述べた。
特別フォーラムに続いては、2か所に分かれて口頭発表が行われ、合わせて17の研究発表が実施された。
シンポジウム、特別フォーラム、口頭発表の詳細は、後日イベントマーケティングの紙面、サイトでレポートする。