日本展示会協会、東京ディスプレイ協同組合、電設協議会は、1月26日、「2019年・2020年オリンピック展示会場問題記者会見」を開催した。
3団体は1月20日、東京都小池知事に「2020年展示会場問題に関する陳情書」を8万1143通の署名とともに提出した。
陳情書の概要について日本展示会協会の石積忠夫会長は以下の通り説明した。
・東京ビッグサイトがオリンピックのメディアセンターとして使用されることによって、多くの展示会が縮小・中止になる恐れがある。
・2020年の7ヶ月間で、3万8000社が出展できなくなり、それにより1兆2000億円の売上を失う(東京ビッグサイトが発表した契約誘発効果より算出)
・装飾、電機工事など展示会支援企業1000社が約1000億円の売上を失う。
・全面的な解決のため、8万平米規模の仮設展示場の建設を希望
・あるいはメディア施設をビッグサイト以外に建設して欲しい
展示会に出展する企業代表として、中野科学の中野信男氏は「中小企業の一員としてこの問題を大きく考えている。中小企業は営業力が弱く展示会を活用して販売促進のほか、新製品発表、顧客からのフィードバック、業界の情報収集の機会となっており、展示会の縮小・中止は、営業・経営判断などさまざまな点で制限されることになり、多くの企業が苦しい状況になり、なかには倒産にもいたる場合もあるのでは。この状況を打開してほしい」とかたった。
また、名古屋眼鏡の小林成年氏は「メガネ業界の展示会ができる前は、われわれ中小規模の会社が全国のチェーン店に営業する機会はなかった。展示会出展とともに売上、シェアをあげてきた。それほど展示会は重要。メガネという製品はカタログや映像では価値がわからない、触って、かけて評価してもらうものなので(展示会の縮小・中止は)大きな機会損失といえる。。日本のメガネは福井が90%、展示会場での商談によって生産計画をたてており、展示会は年間のルーティンのなかに入っている」と語った。
展示会の支援企業が多く集まる東京ディスプレイ協同組合の吉田守克理事長は「会員に行ったアンケートによると、1社平均7億の影響をうける。10億未満の企業が多いなか、非常にインパクトが大きい深刻な問題。東日本大震災やリーマンショックは不可避だったが、今回の問題は解消できる。展示会の業務は回転が早く専業が多いので、他の建築の仕事にすぐにシフトできない。日本のあらゆる分野で職人が減っており、それを助長することは日本全体の問題にならないだろうか」と語った。
石積会長は、仮設展示場の建設期間を鑑み、この1年を目処にこの問題を解決するために関係各所に働きかけを続けるという。