ピコ太郎が歌うPPAP がりんごとパイナップル味ではなく、BABY METAL のギミチョコも甘いチョコレート味ではなかった(驚!)…というのは、「SqueezeMusic」での体験談だ。
あの曲はどんな味?なんていう問いに答える「Squeeze Music」は、音楽の“ 味覚化” を提案したプロダクト。最初のプロトタイプをチームGogyo がMusic Hack DayTokyo2015 で制作し、グランプリを受賞した。現在は、Gogyo チームの一員だった後藤映則さんが所属するNOMLAB のプロデュースのもと、Ginger Design Studio、monopo、Gogyo のメンバーの共同開発でバージョンアップをしている。
後藤さんは「チームで掲げたプロダクトの目的は、“ 音楽体験の拡張”でした。視聴覚が中心だった音楽体験に対し、味覚というシンプルで深い体験価値を加えました」と、体験はシンプルであるほど強くなると解説する。
仕組みは音楽の波形を感情データに置き換えるAPI で、100 種ほどに分析された感情を5つ(HAPPY、EXCITING、ROMANTIC、SENTIMENTAL、SAD)に集約 。
その信号でモーターを制御することで、感情に基づいた味覚に置き換えた5種類のジュースがモーター制御で吸い上げられ、ミックスジュースができあがる。デジタル技術とアナログなギミックの融合によって実現した体験装置だ。
こうしたR&D による新しい価値の創造は、乃村工藝社が昨年スタートしたNOMLAB 設立のねらいの一つだ。
NOMLAB は、集客施設の企画、設計から施工、運営まで手がけてきた乃村工藝社が昨年『デジタルイノベーション× 場づくり』をテーマに発足した、新しい集客創造を目指すラボ。Nomura OpenInnovation LAB という名の通り、様々なアーティストやテクノロジストと協働しながら、場づくりにおけるデジタルイノベーションとクリエーションに取り組んでいく社外を巻き込んだ新たな試みとなる。
後藤さんは乃村工藝社のなかでも、プロジェクションマッピングやサイネージなどデジタルコンテンツの制作を担っており、NOMLABには後藤さん同様、デジタルに強い人財が集まる。
「NOMLAB が期待されているひとつとして、最先端のデジタルテクノロジーをいかに実空間と結びつけて、今までにない新たな場の付加価値を生み出すということがあります。そしてその付加価値が全体の体験ストーリーの中で機能し、点としてではなく線として繋がっている必要があります」(後藤さん)
「Squeeze Music」も一プロダクトではなく、面白いコンテンツがあることによって、集客の装置になり、そこに新しい場をつくるというコンテンツ起点の場のつくり方と言える。
空間づくりのアプローチから、デジタルな技術や手法を使って、実空間でこれまで世の中になかった価値や体験を味わえそうだ。