テクノロジーx感情の掛け算が最強 タケナカ/シムディレクト 【特集:体験をカタチにする空間づくり】

プロジェクションマッピングなど映像で体験をプロデュースしているタケナカの、映像や音響、ディスプレイなどがボーダレスになる新しい空間づくりをみてみよう。

タケナカの系列会社で空間演出を手がけるシムディレクトの代表取締役を務める長崎英樹さんは2月1日にイベントJAPAN で講演した。

LED の低価格化・高解像度化、ホログラムの高精細化、センシング技術の向上、ドローンの普及、3DCG の進化、VR のイベント活用、自由視点映像といった技術向上による新しい演出表現を紹介。“ 超リアルなバーチャル” という進化の方向性を説明。

一方、 “ アイデアの複合化” でコンテンツと受け手の関係性を変革させる別の方向性も示唆した。

たとえばテーマパークの強力な集客力となっている“ キャラクター”の代替手段として、アート性と感情表現をあげ、「テクノロジーと感情の掛け算が最強」とした。

また、プロジェクションマッピングの一般への認知が高まったために、かえってこれまでとくらべて「人の気持ちに刺さらなくなった」。そこで、太陽の塔のイベントでは、来場者が描いた絵が塔に映ったりパズルゲームができたりと、“ 観る” から“ 体験する” に変えたインタラクティブなしくみを加えた事例を紹介した。

デジタル映像と造作の物理的な動きの組合せも、存在感を強調する手段の一つだという。

柔らかい壁を押すと映像が動くしかけで、触覚と視覚にはたらきかける。 タケナカ

柔らかい壁を押すと映像が動くしかけで、触覚と視覚にはたらきかける。

SNS 時代の潮流として、主催者側がコンテンツを提供するのではなく、参加者が自らコンテンツをつくる環境を主催者が整えるというイベントのあり方をあげ、そのキーワードとして『リア充をアピールしたい』という心理の活用が重要と語った。

体感の鍵となる世界観の構築については、一場面を切り取るのではなく、空間全体のデザインが必要として、来場者の動線を面で捉えて一体感の演出した新江ノ島水族館での事例を紹介した。

今後の演出手法のキーワードとして、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚という、五感に訴える感覚テクノロジーのデザインをあげた。最終的に人の心を動かすのは、体感できる“ モノ” だとして、デジタルとアナログが融合した空間づくりを提唱した。

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