世界を変える人へ届け![SAMURAI ISLAND EXPO’17]ーー特集みんなの集客

[月刊イベントマーケティング22号 特集 みんなの集客]

case1 SAMURAI ISLAND EXPO’17

サムライインキュベートでは、昨年初めて、「SAMURAI ISLAND EXPO(SIE)」というスタートアップイベントを開催した。投資家や起業家だけを対象としたイベントではなく、広く一般にも“起業を身近に”と呼びかけたもので、天王洲アイルの島丸ごと会場にというフレーズと、屋外でシャウトする青空ピッチが話題となった。初回には約1,500名が参加。2回目となる今年はさらに間口を広げ、小学生や働く女性など、幅広い層へメッセージを届けようと5,000人の来場を目標にしている。

SIEの統括担当をする冨樫憲之さんは「基本的なことですが、集客の強力な誘引になるのは、やはりコンテンツ」と話す。今回セッションにはAIなどのテクノロジー、働き方などの旬なテーマがあれば、親子でケーキを作れるワークショップもあり、起業家からパティシエ、政治家、そして女子高校生インフルエンサーまで登壇し、漠然と全員が楽しめるコンテンツというよりも、各層それぞれに深く刺さる具体的なコンテンツの集合体となっている。

▽SAMURAI ISLAND EXPO’17で展開されるコンテンツ

https://samurai-island-expo.com

天王洲アイル全体でさまざまなコンテンツが展開される

天王洲アイル全体でさまざまなコンテンツが展開される

 

 

 

 

 

 

 

「SIEが掲げる今回のテーマは、“TECHNOLOGY→PEACE 世界は誰でも変えられる”です。スタートアップというと、とてつもなく革新的なアイデアや、最先端を思い浮かべるかもしれませんが、誰かのための技術やアイデアが世界を変えるかもしれない、変えた後の身近な未来を想像できるような場所にしたい」と起業を目指すひとだけに届けるのではなく、新規層にいかにアプローチするかが鍵となっている。

一方で、「間口を一般に広げ、子供たちにも来て欲しいと言うと、スタートアップのためのイベントという起業家向けメッセージがぼやけてしまうことも悩み」と、幅広いターゲットに自分事に感じてもらうためのイベント全体の魅力の届け方に試行錯誤していると明かす。

多様性がテーマでもあり、コンテンツでもその多様さを表現しているが、集客にはその届け方も重要だ。SIEが事前コミュニケーションで活用した手法は、大きく分けて3つある。コンテンツの出し分けができるメールマガジンによる配信、口コミが期待できるSNS。そして、プレス向けのニュースリリースの配信だ。

懸念していたイベント全体の魅力の発信には、書き起こしメディアのログミーとコラボし、登壇者の一人奥田浩美さんと冨樫さんが対談した、「居心地が良い場所に“未来”はない ウィズ奥田氏×サムライ富樫氏が考える『世界を変える人の共通点』」を企画。Facebookで324いいね!(2017年4月18日現在)を獲得するなどSNS上で展開され、新しい関心層の獲得に貢献したという。

SIE'17では道路も封鎖し、天王洲アイルが丸ごと会場に。前回は開催場所まで迷ってしまったという参加者の声もあり、手書き地図を作成し配布した。街歩きもできる

SIE’17では道路も封鎖し、天王洲アイルが丸ごと会場に。前回は開催場所まで迷ってしまったという参加者の声もあり、手書き地図を作成し配布した。街歩きもできる

また、前回のSIEからの改善点は、脱内製化だ。プレスリリース作成、メディアアプローチをPR会社に委託、情報発信の頻度とスピードを上げた。限られた人員でイベントを運営しているとコンテンツづくりに比重が偏り、情報発信とのバランスに苦労する主催者も多いが、登壇者プロフィールや写真など、素材を集約・管理する仕組みができ、情報発信がスムーズにできたという。また、外部委託によってリリース作成に別の視点が加わり、想定していなかった新しい切り口でのアプローチも発見したと話す。PR会社のもつルートでYahooニュースに掲載され、申込みや問合せにもつながった。

▽Yahoo!ニュースヘッドラインに掲載された「SAMURAI ISLAND EXPOʼ17」内で行われる「地震対策ハッカソン」

http://samurai-island-expo-hack.strikingly.com

「興味関心の高い層へ適切な回数、タイミング、アプローチ方法(公式アカウントや個人アカウントを使い分け、ビジネス的コンタクトかプライベート的なコンタクトかも大事なポイント)など、タッチポイントの設計が集客のコツ」と、SNSにより会ったことのないコミュニティにアプローチができるようになったことは大きく、トライ&エラーを繰り返しながら運用中と話す。「でも特別なことではなくて、SNSというツールに変わったけれど、個別に連絡する、直接会って『来てね』と言うのと変わらない。もちろんface to faceの対面は強いですけど」と冨樫さんは笑う。

 

SAMURAI ISLAND EXPO’17
http://samurai-island-expo.com/
会期:2017年4月22日(土)、23日(日)
会場:天王洲アイル地域全体
入場料: 無料(カンファレンス等一部コンテンツは有料チケット)
主催:SAMURAI ISLAND EXPO実行委員会
ブース参加、有料カンファレンス聴講申込み
http://eventregist.com/e/sie17

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