「EO ESG AWARD 2023」レポート: 起業家のESGな取り組みを称え、活性化する

「EO ESG AWARD 2023」レポート

「EO ESG AWARD 2023」は、起業家たちのESGやSDGsな取り組みを表彰するイベントとして、2023年3月9日、帝国ホテルで開催された。

 

イベントは、基調講演、ファイナルピッチ、表彰式、ネットワーキングなど様々なプログラムで構成され、展開。会場には、主催者であるEO-Enteroreneurs Organization Tokyo Central(以下、EO Tokyo Central)の会員企業、協賛企業、ゲスト審査員をはじめ、持続可能性を重視する企業や団体の代表者、投資家、報道陣など多岐にわたる関係者が一堂に集まり、ESGへの取り組みについて情報交換し、イノベーションとリーダーシップを称え合​う場となった。

 

主なハイライトを紹介する。

 

基調講演ではリーダー論を

基調講演では多摩大学大学院名誉教授で、田坂塾塾長の田坂広志氏が「運気を引き寄せるリーダー 7つの心得」として、田坂氏がこれまで出会った経営者や自身のエピソードとともに、経営者やリーダーに求められる“究極の力量”とは何かをテーマに語った。

田坂広志氏,基調講演「運気を引き寄せるリーダー 7つの心得」,

田坂広志氏が「運気を引き寄せるリーダー 7つの心得」として基調講演を行なった

EO ESG AWARD FINAL PITCHで5社がプレゼン

今回3回目の開催となった「EO ESG AWARD」では、世の中に良い影響を与える会社(事業)の社会的認知度を向上させることを期待し、企業参加を会員以外からも初めて募り実施。最終ファイナリストは、選考により以下の5社が選ばれ、各社の代表が1人7分のプレゼンと審査員による質疑応答3分の計10分間のピッチを行った。

 

EO ESG AWARD FINAL PITCHの登壇者

・株式会社バオバブ 代表取締役社長 相良美織さん

・BABY JOB株式会社 代表取締役社長 上野公嗣さん

・株式会社デジリハ 代表取締役 岡勇樹さん

・株式会社オシンテック 代表取締役 小田真人さん

・株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん

 

EO ESG AWARD FINAL PITCH登壇者のプレゼン

株式会社バオバブ 代表取締役社長 相良美織さん

株式会社バオバブ 代表取締役社長 相良美織さん

株式会社バオバブ 代表取締役社長 相良美織さん
AIの機械学習のための学習データの作成やアノテーションを行う作業を、障害やトランスジェンダーの課題を抱えるパートナー(22カ国1200名以上)とともに実践。
「社会で誰もがあるがままに受け入れられ、そして人生の選択肢が開かれている社会。そんな社会を実現することを目指しています」

アノテーション作業とは

AIの機械学習のための学習データの作成やアノテーション作業

 

 

BABY JOB株式会社 代表取締役社長 上野公嗣さん

BABY JOB株式会社 代表取締役社長 上野公嗣さん

BABY JOB株式会社 代表取締役社長 上野公嗣さん
ファイナリストの中で唯一のEO会員企業。仕事と家庭と子育てを両立し、時間貧困の課題をもつ世代に、保育施設に直接、おむつ、おしりふき、コットカバーが届く定額制サービス「手ぶら登園」​​などのサービスを展開。
「すべての人が、子育てを楽しいと思える社会をつくっていきたい」

BABY JOBのおむつのサブスク推移

BABY JOBのおむつのサブスク導入推移

 

株式会社デジリハ 代表取締役 岡勇樹さん

株式会社デジハリ 代表取締役CEO 岡勇樹さん

株式会社デジリハ 代表取締役 岡勇樹さん
相互作用を生み出すリハビリテーションシステムの開発と提供を全国の医療機関や福祉施設に提供。センサーやアプリに蓄積したデータを活用し、自分のことを自分より理解してくれる生涯伴走者​​のようなデータベースを開発している。
「メタバース空間も含めたコミュニティの形成をさらにデジタルワールドそしてリアルワールドも含めて作っていく。人生の可動域を拡張し続けるプラットフォームになります」

デジハリによるデータベースの構築開発イメージ

デジリハによるデータベースの構築開発イメージ

 

 

株式会社オシンテック 代表取締役 小田真人さん

株式会社オシンテック 代表取締役 小田真人さん

株式会社オシンテック 代表取締役 小田真人さん
グローバルイシューと言われる、自動運転や気候変動変化といったテーマ毎にあるルールトレンドを可視化。海外の法制プロセスを可視化するサービスを提供。RuleWatcherで言語バリアを超え、インテリジェンス活動やルール形成戦略を容易に​​する。
「ルールというのは、ビジネスにとってものすごくパワフル。ルールメイキングがオープンになり、現地語バリアも超えることで、民主主義の進化を成し遂げたい」

オシンテックのサービスを活用した事業プランの一例。テーマは多分野に渡る

オシンテックのサービスを活用した事業プランの一例。テーマは多分野に渡る

 

株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん

株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん

株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん
移住先で、事業展開しているカンボジアから来日し、プレゼン。コオロギを独自の加工技術によってうまみたっぷりの食品原料としてグローバルに供給する体制をもつ。中長期的には日本も含め、ホエイプロテインの1/3の価格で普及し2025年に黒字化達成を目指している。
「世界の食の課題を自分が大好きでたまらないあの生物“コオロギ”の力で解決したい。地球規模でもっと持続的にプロテインをお気軽に供給できないのか、私はそんな世界をつくっていきたいと思って活動を続けています」

エコロギー原料を使った商品事例。B2B事業を拡大させながら、 B2C自社ブランド品も展開。中長期的にはR&Dの成果から、機能性を訴求した商品ラインナップを拡大する

エコロギー原料を使った商品事例。B2B事業を拡大させながら、 B2C自社ブランド品も展開。中長期的にはR&Dの成果から、機能性を訴求した商品ラインナップを拡大する

 

 

審査基準は、目的の妥当性、規模、継続年数、インパクト、社会への協力、新規性、再現性、持続可能性などの項目から、それぞれを五段階で5名の審査員が評価。総合得点が一番高いファイナリストに最優秀賞が決定される。 

 

EO ESG AWARD FINAL PITCHの審査員・特別ゲスト

<審査員>

田坂広志さん(多摩大学大学院名誉教授/シンクタンク・ソフィアバンク代表/田坂塾塾長)

須田騎一朗さん(EOTC会長/ユナイトアンドグロウ株式会社代表取締役)

鈴木絵里子さん(株式会社Kind Capital代表取締役)

高橋ゆきさん(株式会社ベアーズ創業者 兼 副社長)

上岳史さん(前回最優秀賞/デコボコベース株式会社代表取締役)

<特別ゲスト>

西村康稔経済産業大臣

 

表彰式には西村経済産業大臣も登場

5社のファイナルピッチ終了後、ゲスト審査員による審査が行われ、最優秀賞、審査員特別賞などがその場で発表された。表彰授賞式では、受賞企業の代表者がステージに上がり、表彰状とトロフィーを授与された。

 

最終的に、「EO ESG AWARD 2023」最優秀賞に選ばれたのは、株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん。100万円分のメディア活動費及びスポンサーの株式会社三菱UFJ銀行よりMUFGメンターによるメンタリング機会の提供などが贈られた。

EO ESG AWARD 2023,最優秀賞,株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん

「EO ESG AWARD 2023」最優秀賞を受賞した株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん
特別ゲストの西村康稔経済産業大臣からも祝いのメッセージが送られた

また、特別ゲストとして西村康稔経済産業大臣が参加。最優秀賞受章者へのお祝いの言葉として「株式会社エコロギーさんは、食の問題を解決していこうとカンボジアで事業をされているということで心から敬意を表したい。経済の世界は鳥の目で全体を見ながら、虫の眼でミクロの世界も両方みなきゃいけないわけですが、つまりそれはそれぞれ一人ひとりの幸せを考えていくこと。まさに虫の眼でマクロを解決し、鳥の目で地球を救うという取り組みをしていると感じました。虫から世界地球を全体救う、人類を救うように頑張って頂ければと思います​​」とメッセージした。

特別ゲストとして参加した西村康稔経済産業大臣

特別ゲストとして参加した西村康稔経済産業大臣

熱量高いネットワーキング

ネットワーキングでは、ファイナリストそれぞれにピッチを聴いた参加者から質問が飛びかったり、ファイナリスト同士でも交流が進んだりと、高い熱量で挑戦する経営者との親交が図られていた。

さらに、ネットワーキングでは、EOジャパンファウンダー堀義人氏(グロービス経営大学院 学長/グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)から乾杯の挨拶があり「ビジネスでは、経済的価値を生み出すこと、もう一つは社会的価値を生み出すことの両方が必要です。社会的価値を生み出す方がESGで、どちらかというと経済的価値を生み出す方が起業家と分けますが、最近は境目がなくなってきている。EO Tokyo Centralでは、会員それぞれが社会に対して還元していくことが重要」とEO ESG AWARDの意義や、企業のESG活動の活性化についての想いが伝えられた。

 

企業のESG活動の活性化の一助に

今回、「EO ESG AWARD 2023」の実行委員長としてイベントを企画・運営したEO Tokyo Central会員の上岳史氏(デコボコベース株式会社代表取締役社長)は「このイベントを開催したきっかけは、EO Tokyo Centralのプレゼンス向上が目的でした。起業家機構としての団体が世界にどうプラスの影響を与えられるかという命題があるなか、3回目の開催として今回はEO会員だけでなくオープンにエントリーいただくことで、ESG活動に取り組む企業がこんなにもいて、EO Tokyo Centralではそのサポートをしていることが伝えられることで企業のESG活動の活性化の一助になればと考えています」と開催の意義を語った。

「EO ESG AWARD 2023」の実行委員長としてイベントを企画・運営したEO Tokyo Central会員の上岳史氏

「EO ESG AWARD 2023」の実行委員長としてイベントを企画・運営したEO Tokyo Central会員の上岳史氏(デコボコベース株式会社代表取締役社長)

 

「EO ESG AWARD」は毎年継続して開催される予定。すでに次回に向けても準備を進めているという。

 

「EO ESG AWARD 2023」受賞一覧

最優秀賞:株式会社エコロギー 代表取締役CEO 葦苅晟矢さん

優秀賞:BABY JOB株式会社 代表取締役社長 上野公嗣さん

優秀賞:株式会社オシンテック 代表取締役 小田真人さん

審査員特別賞:株式会社バオバブ 代表取締役社長 相良美織さん

審査員特別賞:株式会社デジリハ 代表取締役 岡勇樹さん

 

「EO ESG AWARD 2023」FINAL PITCHでの質疑応答風景

「EO ESG AWARD 2023」FINAL PITCHでの質疑応答 「EO ESG AWARD 2023」FINAL PITCHでの質疑応答 「EO ESG AWARD 2023」FINAL PITCHでの質疑応答 「EO ESG AWARD 2023」FINAL PITCHでの質疑応答

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