拡張する市場に対応し 4つのWeekにリニューアル、交流会も多数企画 Japan IT Week 春 2025春 RX Japan 株式会社 丹野史也さん
- 2025/4/10
- Interview

拡張する市場に対応し 4つのWeekにリニューアル、交流会も多数企画
RX Japan 株式会社 Japan IT Week事務局 営業統括 丹野史也さん
あらゆる事業分野の進化を支えるITの最先端技術やソリューションが一堂に集まるJapan IT Week 春2025 (IT・DX・AI総合展)が、4月23日から3日間東京ビッグサイトで開催される。今回は展示会の構成が一新され、新たな4つのウィーク体制としての初の春開催となる。RX Japan株式会社 Japan IT Week事務局 営業統括の丹野史也さんに、展示会の最新の形や今年の見どころについて話を聞いた。
IT市場の拡大とともに発展 今回は4つのWeek体制に
Japan IT Weekの歴史は1992年にさかのぼる。ソフトウェア開発の展示会としてスタートし、時代の変化とともに発展してきた。個人情報保護法の制定時にはセキュリティをテーマにした展示会が追加されるなど、時代の要請に応じて進化を続けし、昨年4月までで春のみで33回の開催実績を持つ。
これまで、Japan IT Weekという総称のもと、クラウドやSaaS系アプリケーション、AI、組込み、IoTなど幅広いテーマを扱い、12の構成展で運営され、昨年4月の開催では東京ビッグサイトの東1〜8ホール全てを使用する規模となっている。
「規模が大きくなることは非常に嬉しいことですが、来場者と出展社のマッチングという点を考えると、テーマが12個というのは少し違和感がありました。例えば、開発系に来る方とデジタルマーカティングを見たい方ではニーズが全く違います」と丹野さんは語る。
そこで昨年7月から展示会の構成を見直し、4つのウィーク体制と変貌をとげた。システム開発・運用・保守に携わる『Japan IT Week』、デジタルトランスフォーメーションに関する『Japan DX Week』、営業・マーケターが抱える課題に対応する『営業・デジタルマーケティングWeek』、そしてEC・店舗を持つ企業向けの『EC・店舗Week』となった。「この4つのウィークを総称して『IT・DX・AI総合展』と呼んでいますが、正式名称ではなく、包括的に私たちが使っている言葉です」と丹野さんは補足する。
このリブランディングについて当初は出展社からの戸惑いもあったが、説明を進めるうちに理解が広がったという。
「IT Weekという名前に馴染んでいらっしゃる企業様はまずビックリされるのですが、説明すると皆さんにも賛同いただけました。自分たちの出展する展示会が何のカテゴリーに属するのか明確になり、来場者とのマッチングもイメージしやすくなったと、お言葉をいただきました」。(丹野さん)
商談と学び・交流の両立 各ウィークのみどころ
Japan IT Week
メインターゲットである企業の情報システム部門の担当者に向けて、今回新たに『情シス応援パビリオン』を企画した。「情報システム部門の方の課題に寄り添っていくと、私たちの展示会のコンセプトだけではまだフォローしきれていなかった部分があります。例えば企業のセキュリティを守るという部分ももちろん大事ですが、日々のPC設定やライフサイクルマネジメントといった情シスの方々が実際に行っている業務にはあまりフォーカスされてこなかったんです」と丹野さんは説明する。
情シス応援パビリオンでは、情報システム部門の業務を支援する企業が集まり、3日間で20分のセミナーを各社が実施。初日最後にはネットワーキングのためのオフ会も用意されている。
「情シスの方は日々忙しい業務の中で会社から出られないケースが多いのですが、この3日間だけは外に出て交流し、業務効率化のヒントを得る場として活用していただきたいと思います」。(丹野さん)。
元から情報システム部門でキャリアを積んだ層だけでなく、コロナ後にテレワークが進み、急遽情シスの業務を担当することになった“兼任情シス”や“1人情シス”と呼ばれる人の悩みを解決できる場として注目を集める。
受注に直結する商談の場というRX Japan展示会づくりの姿勢に加えて、担当者の情報共有や交流の場としての役割をもたせる、大きな変革といえる。
営業・デジタルマーケティングWeek
『スキルアップのためのマーケター交流会』を新たに企画。WACULの垣内勇威氏や才流の栗原康太氏などマーケティング業界の第一人者が登壇。その後、来場したマーケターと日々のデジタルマーケティングの課題や悩みを共有し、スキルアップをしていく、ネットワーキングを実施する。シンフォニーマーケティングの庭山一郎氏をはじめ、Google、Meta、Xなどプラットフォーマーも多数参加する。
同じRX Japanが主催する『マーケティングWeek』は販促グッズなどアナログ施策も含めたマーケティング全般をカバーする総合展であり、『営業・デジタルマーケティングWeek』は IT Weekからスタートした背景もあり、デジタルを使ったマーケティングや営業活動の進化に特化している。また、DX推進担当などITを活用する様々な部署の担当者が来場することも特長となっている。
EC・店舗 Week
コロナ禍を経て急速に伸びたEコマースだけでなく、依然としてニーズの高い店舗での購買行動も重要なテーマ。オムニチャネルとして店舗とECの融合がポイントとなっている中、『ECサイトのUI/UX EXPO』『EC管理・物流 EXPO』『店舗の人手不足対策 EXPO』『店舗管理・運営 EXPO』の4つのEXPOでリニューアル開催する。
アパレルや家電量販店などをはじめとした小売業だけでなく、D2CとしてメーカーがEC事業を始めるケースも多い。また、サロン、ジム、ホテル、飲食店など店舗を構えるサービス業も含め、EC・店舗事業者が多く来場する。
とくに注目されるのが『ECモールお悩み相談コーナー』だ。コロナでECの需要が伸び、ECモールへ出店する企業も多い一方で、EC担当者が抱える悩みも非常に多い。大手モールのAmazon/楽天市場の担当者に、日々の運営業務に関するお悩み相談や、新たな出店検討の相談が可能となる。
Japan DX Week
オフィスの業務効率化を中心にした『社内業務DX EXPO』と『AI・業務自動化 展』、経営者向けに『データドリブン経営 EXPO』が注目を集める。
また「現場DX EXPO」を新設し、工場や建設現場など、DXがまだまだ進んでいないデスクレスワーカーと呼ばれる現場で働く方々のDX化を支援する。例えばアイトラッキングで作業員の視線の動きを分析してマニュアル作成に活かしたり、危険察知をするサービスなども登場している。
Japan Startup Summit
IT・DX化を推進する新規事業者と経営者が集まる「Japan Startup Summit」も初開催する。出展料も通常より抑え、カンファレンスやピッチセミナー、ブース装飾も含めて税込50万円以内の特別料金体系を設けている。
他のスタートアップイベントと異なり、IT・DX・AI総合展に出展・来場する成熟した企業と交流できることが特長で。「商談中心の展示会の座組の中にスタートアップが入ることに高い価値を見出している出展社の方も多い」と丹野さんは話す。
スタートアップのコミュニティLeading Startup Square(LSS)の協力を得て、ベンチャーキャピタルとの交流も促進し、通常BtoBイベントには参加しない層も会場に招き、伝統的な企業とスタートアップの交流の場として期待される。
展示会のDX化 Expo Masterの導入
IT Weekの展示会運営自体もIT・DX化を進めている。丹野さんは同展で導入されているデジタルプラットフォーム『Expo Master』について「展示会は対面商談の場ですが、これだけの規模になると来場者が全ブースを回ることはできず、90%以上の方が事前に計画を立てて来場しています。そこで『Expo Master』の検索機能で、事前に出展社情報を調べられるようにしています」(丹野さん)。
出展社は自社の情報がどれだけ閲覧されているか把握でき、来場者とのマッチングをより効率化。さらに当日はQRコードによるデータ収集や、リードデータに商談評価の紐づけ、即時ダウンロードできる機能も備えている。
「出展社の方にはぜひ展示会ブースの準備より前の段階で、早めに出展情報を公開していただきたいと思います。事前に動けば動くほど出展効果につながります。早めの出展申込みは、かつて先着順でスペースが取れる、ということがメリットでしたが、今は出展成果最大化のためのデジタル施策を有効活用するためにも必須になっています」と丹野さんは語る。
出展社・来場者の生の声を聞くことが主催者のしごと
丹野さんが一番大切にしているのは出展社・来場者のニーズだという。それを正しく把握して、応えるための展示会を作ること主催者の仕事。自分たちのやりたいことを押し付けるのではなく、しっかりとニーズを見つめ、企画を立ち上げていくことが重要だと考えている。
そのため、来場者アンケートだけでなく、展示会場で直接ヒアリングしたり、出展営業・集客促進のための企業訪問の機会にも生の声をきいている。これらを元に課題や評価ポイントを明確にし、次回の改善に活かしている。この活動こそが展示会の核心的価値とし、主催者がやり続けなければならない部分だという想いで、日々活動している。
イベント業界にとっての IT Weekの意味

丹野史也さん
RX Japan株式会社 Japan IT Week事務局 営業統括
時代に合わせて変化し続けるJapan IT Week。単なる展示会から、業界全体の課題解決やネットワーキングの場へと進化を続けている。展示会自身もデジタル変革を遂げながら、参加者にとってより価値のある場へと成長している。
この春の東京ビッグサイトでの開催が、IT・DX業界だけでなくイベント業界にとっても多くの気づきをもたらすことは間違いない。イベント業界はまだまだDX化が進んでおらず、これからの伸びしろが大きい。効率化を進めることで収益化を進めることも可能だ。イベント業界こそ来場する価値があるのではないだろうか。
4月23日(水)〜25日(金)に東京ビッグサイトで開催される『IT・DX・AI総合展』(Japan IT Week、Japan DX Week、営業・デジタルマーケティング Week、EC・店舗 Week)に、足を運んでみてはいかがだろうか
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開催概要
Japan IT Week 春2025 (IT・DX・AI総合展)
日本最大級!IT・DX総合展
リニューアルして開催、950社が出展
会期:2025年4月23日(水)~25日(金)10:00~18:00(最終日のみ17:00まで)
会場:東京ビッグサイト(東1~8ホール)
主催:RX Japan株式会社
紙面PDFは下記から閲覧・ダウンロード可能
https://www.event-marketing.co.jp/wp-content/uploads/2025/03/117go-upload.pdf