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共創型展示会×大型展示会=成果++ 特集:リアル戦略の空間デザインとアプローチ -1
共創型展示会×大型展示会=成果++
竹村 尚久さん SUPER PENGUIN 株式会社 代表取締役
未来のイベントの在り方を様々な視点から模索し、トライしていく有志の集まり「EXXLAB(エックスラボ)」では、1月18日から20日まで虎ノ門ヒルズフォーラムで共創型展示会「KEEPITREAL」を開催した。
日本の各産地の展示会出展をサポートする空間デザイン会社のSUPERPENGUIN株式会社 代表取締役の竹村尚久さんは「ビジネス空間でのデザインのゴールとは、成果を出すこと。そして、そのゴールは段階的でもいいのではないか」と考えEXX-LABに参画した。また「新たな展示会の取組みは、例えば大型展示会と共存・連携できるもの、補完するものとして捉えると、新しい選択肢となる」とも期待する。
大型展示会の来場心理を読む
「次の出展計画を立てるため、会場に実際に人の流れを見にきました」
「次回、気合を入れているんで、また展示ブースのデザインの作戦お願いしますね」
2月、東京ビッグサイトで開催された大型展示会「東京インターナショナル・ギフト・ショー(以下東京ギフト・ショー)」の会場に視察にきた次回出展検討中の来場者と、会場ゾーニングと人流観察の肌感を情報共有しながら談笑する竹村さん。展示会場を歩いていると次々に出展者や来場者から声が掛かる。東京のキャラクターグッズ会社、佐賀の石鹸・洗剤メーカ…と、いずれも展示会に成果を求め、迷っていたときに竹村さんと出会って出展成功の転機になったという企業だ。以来、仕事の受発注に関係なく「展示台をあと10cm通路側に寄せた方がいいですよ」「展示品の数をいくつか間引くといいですね」と現場に合わせて、より集客できるブースへと最適化のアドバイスもする。
「主催者は会場まで来場者を誘引するけれど、その来場者が出展ブースに気付いて足を留める、製品・サービスを吟味する、説明を求めて話しかけるまでの流れをつくるのが、出展ブースなど“ビジネス空間”をデザインする私の役割です」(竹村さん)
大型展示会でどのブースを訪れるかを決める判断時間は平均3秒ともいわれる来場者の心の動きを、竹村さんは建築学の基礎である心理学思考から設計する。商品を起点にブースの形態から取り掛かるデザイナーもあるが、竹村さんがまず考えるのは購買心理ならぬ来場者の探究心。まずは会場全体マップのブース位置を確認し、探索する来場者の気持ちになると言う。何百と並ぶブースの中から効率的に探しているときには、探している相手がここにいるという符号を空間に落とし込み、瞬間でわかること。また、「バイヤー(来場者)は、不必要にはつかまりたくない」という心理があるので、ブースアテンドの対応もプル型であることなど、空間も行動もデザインする。
オンライン時代の出展者心理を読む
竹村さんが、もっと俯瞰的な視点を展示会に向けたのは、出展者の成果への本気度が相対的に高まっていることが一つの理由だ。そんな出展者心理に寄り添い、商品・サービスのブラッシュアップ、展示・出展手法のブラッシュアップの場を「KEEP IT REAL」では目指し、会場設計した。
「キーワードは『コミュニケーション』です。会場のメインにある1200mm 角の展示台を今回デザインしたのですが、展示された商品を全方位から囲って見ることのできる形式で、自然と前のめりになることもわかりました。出展者だけでなく様々な来場者が一緒になって語り合う、意見の交換をしあう場所として機能しました」(竹村さん)
また、来場者が感想や改善点などのフィードバックを手紙のように残し、客観的に商品体験を共有するスタイルも採用した。
1月の「KEEP IT REAL」出展者のなかには、その後に2月の「東京ギフト・ショー」に初めて出展する企業も。フィードバックからヒントを得たという出展者の一人は「置いただけでは意図の伝わらなかったものに『手作業』というキャプション一つ付けただけで、『だからこの値段設定なのね』と値付けへの説得力が増したんです」と話し、フィードバックの効果を感じ経験値をつんでいた。
展示会の成果を高めるトライの場を複数、段階的に持つことも、リアル戦略には有効だ。
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