いまがチャンス!海外展開 3 変化の大きいところへ行こう ービッグビートの「JRIT ICHI(市)」ー

 

変化の大きいところへ行こう ービッグビートの「JRIT ICHI(市)」ー

株式会社ビッグビート 代表取締役 濱口豊さん

株式会社ビッグビートでは、2021 年6月に、オンライン上でのマーケットプレイス「JRITICHI(市)」をオープンした。タイを皮切りにASEAN 市場で、日本の ITソリューションのBtoB ユーザー獲得を目指す場だ。代表取締役の濱口豊さんに、日本の BtoB 企業の課題感や展望についてお話をうかがった。

日本企業3つの弱点に寄り添う

代表取締役の濱口豊さん自ら「『JRIT ICHI(市)』はチャレンジングな取組み」と明かす理由は、タイ国内で日本企業は製造業で認知はあっても、IT ソリューションの認知度は極めて低い現状があり、長い道のりになる覚悟があるからだ。厳しくとも挑むのはなぜなのか。

ビッグビートは、BtoB 企業のマーケティングコミュニケーション支援を行う広告会社で、1995 年に設立して 26 年になる。「一番変化の大きいところへ行け」という広告営業の原則が、ビジネスの信条にあると語る濱口さんは、多くの外資系企業との付き合いから見えてきた日本企業の弱点を「マーケティング、デジタル、グローバル」の3つだとして、創業の1995 年当時、特に変化の大きかった BtoB 向けIT企業のマーケティングに取り組んできた。

デジタル化ではイベント運営にも導入し、来場者管理・出展者管理システムを自社開発で早くから提供しており、昨年のコロナ禍でリアルの場が失われると、法人向けオンラインイベントプラットフォーム「KODOU」のリリースもスピーディに展開した。

グローバル化は、最後に取り組んだ課題だ。欧米、アジアで海外展示会の出展サポートの実績もあるが、エリアをASEAN 市場に定め、オンライン・マーケット・プレイスという市場の主催側に立つ。2018 年に、タイに現地法人を設立して本格的に展開している。

タイ・ASEAN の理由

現在、日本企業でタイに進出しているIT 企業がどれだけいるかというと、約 200 社だとう。そのほとんどが、日本の現地法人向けだ。一方、マーケットプレイス「JRIT ICHI(市)」で目指すのは、IT 化・DX 化を推進するASEAN 現地企業を対象とする。

タイでは 2017 年に国家プロジェクト「タイランド 4.0」でデジタル経済化を推し進めようと予算を投下し、ドイツ・ハノーバーの BtoBの IT 展 示 会 を 誘 致し「CEBIT ASEANThailand」を 2018 年から開催、このコロナ禍で多くの企業でデジタルシフトが進む。市場の拡大を見据えて、特に欧米のグローバルIT 企業、ASEAN 発のスタートアップ企業、なかでもSaaS 系ベンダーの参入は顕著だ。日本企業の存在は Bigbeat Bangkok Co.,Ltdの代表によれば「日本文化に対する関心は高いが、ことIT ソリューションに対しては驚くほど無関心で、知られていない」のが現状だが、逆に言えば伸び代があるとも言える。

「JRIT ICHI(市)」のオープンセミナーには、タ イ王国デジタル経済社会省、タイ企業のDX キーパーソンがウェビナーに出演。日本企業 側にはNTT DATAやHITACHI、日鉄ソリュー ションズが講演し、約200名の参加があった

「JRIT ICHI(市)」のオープンセミナーには、タイ王国デジタル経済社会省、タイ企業のDXキーパーソンがウェビナーに出演。日本企業側にはNTT DATAやHITACHI、日鉄ソリューションズが講演し、約200名の参加があった

「タイを中心に、2025 年までに世界の5大デジタルテクノロジー市場のひとつになると見られるASEAN への進出を見据えています」と濱口さんは、変化の潮流は日本 IT 企業にとって、好機と捉えている。

BtoB のマーケティングには、3つの段階があり、「JRIT ICHI(市)」では、それぞれの段階でアプローチができる機能を備えるのがポイントとなる。リサーチして顧客を決める機能、決めた顧客に対して認知される機能、そしてリードを獲得する機能だ(下図「JRITICHI(市)全体スキーム」)。

「90 年代からこれまで、我々の世代は変化に富んだ良いビジネス環境下で仕事をさせてもらった。一方で、これからの若い世代は内需ばかりでは変化は少ないのではないか。そんな危機感から、BtoB の IT 企業にとって変化の大きい場に新しいステージをつくっていくことが、次世代への社会貢献の一つと考えています」(濱口さん)

 

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