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体験提供の期待値に応える緻密性と演出力 – 特集:リアルとメタバースそれぞれの空間デザイン戦略 -1
体験提供の期待値に応える
緻密性と演出力
– XR 総合展 / Art + in YomiuriLand HANA・BIYORI
長崎 英樹さん シンユニティグループ ㈱タケナカ専務取締役
プロジェクションマッピングなどリアルイベントの映像演出をてがけるシンユニティグループ。その空間デザインはどう進化しているのか。
高付加価値な映像演出が得意なシンユニティグループでは、これまで緻密なモデル制作ができる「Maya」「3ds Max」「Cinema4D」で映像を制作していた。ゲーム開発に広く使用されている 3D 制作プラットフォームUnreal Engine の新バージョンで、数億ポリゴンを超える映画品質のモデルが使用できるようになった。
それにより映像制作から映像送出までレンダリング不要で、インタラクティブに高品質な3D 空間を創り出す。
自宅でヘッドマウントやヘッドフォンを使って仮想空間に没入し、リッチなバーチャル体験に慣れたユーザーに、会場に足を運んでもらう。ハードルが上がった課題に、イベントが再開してきたいま、長崎さんが挑戦する。
音響会社のグループ化と没入感を向上する XR
没入感を出すために映像と同じくらい大切なのが音響品質だ。どこから音がでて、どちらに移動するのか。その世界に入り込ませるのが立体音響。以前はスピーカー 2つで済んでいた現場でも、10 個ほど設置することもある。音源も多チャンネルで収録しなければならないし、音場の制御設計は特殊な技術だ。熟練の技が必要な音響技術の向上のため、今年 6 月に有限会社プレストーンをグループ化した。
もちろん映像演出も大きく進化している。グリーンバックを用いたクロマキー合成から、LED バックを用いることで会場での参加者にも背景合成を楽しめるようになった。配信映像では、背景の映像を拡張して、広い空間の中に出演者を映し出すことが可能だし、映像エフェクトを使った配信ならではの演出もできるようになった。
今年 4 月に出展した XR 総合展の自社ブースでは、ベーシストによる XR のライブパフォーマンス「XR Studio – Cross over -」を実施。トラッキングカメラを導入し、カメラ位置や角度に応じて背景映像や演出効果も追随することで、本物か映像か区別がつかない緻密な融合空間が、来場者の目を奪った。
テクノロジーだけじゃない 企画と演出力が差をつける
多くのイベントがオンライン化した際に、課題となったのが離脱率。ウィンドウを閉じるだけで会場を抜け出す “ 気まずさ” がない上に、ウェブ上の行動は詳細なログが残る。その解消には技術より、演出の工夫が効果を発揮した。2 ~ 3 分ごとに見せ場をつくったり、参加感を出す投票などの手法を活用した。
会場でのイベント実施でも、一定時間を快適に楽しんでもらうためのストーリーづくりが必要。グループ企業のシムディレクトは映像制作でなく、映像のある空間をプロデュース。顧客との窓口として、その要望に応えるため、映像、音響、照明だけでなく、会場の選定、装飾など空間の価値創造を行っている。
同社が展開しているのが、「Art + in YomiuriLand HANA・BIYORI」だ。印象派の絵画を、大型映像と立体音響、照明演出で、デジタルコンテンツで表現。絵画の要素を切り取ったり、重ねたり、どこにフォーカスするかなど、来場者それぞれの解釈を楽しむ、きっかけを与えている。アートの深遠な魅力を、エンターテイメントの楽しさで広げる。
長崎さんは「海外のようにクリエイターだけでなく、プロデューサーが評価される時代にしたい」と語る。バーチャル・リアルと多様な要素が入り混じる新しい空間は、多くの才能をプロデュースする力がつくっている。
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特集のテーマ リアルとメタバースそれぞれの空間デザイン戦略
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西尾レントオール、昭栄美術
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